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アジアのトップストライカーがJに凱旋!
鄭大世が見せる5年分の苦悩と成長。 

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吉崎エイジーニョ

吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki

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photograph byGetty Images

posted2015/07/19 10:50

アジアのトップストライカーがJに凱旋!鄭大世が見せる5年分の苦悩と成長。<Number Web> photograph by Getty Images

韓国でのイベントにて赤ん坊を抱いて登場した鄭大世。プレーの質を決定的に変えるキッカケとなった、自慢の息子だ。

ストライカーを苦しめたゴールの重圧と恐怖。

 2013年、14年の2シーズンともに「そこそこの活躍」で終えた鄭大世。日本よりもFWに直接的な結果を求めるKリーグの地で「3試合ゴールがなければ先発を外される」恐怖との戦いが常にあったという。プレーに納得がいかず、クラブハウスのシャワールームでシャンプーやリンスのボトルを大きな音を立てながら払いのけるなど物にあたったたりしたため、コーチ陣から大目玉を食らったこともある。

 2014年ブラジルワールドカップ前の、スポーツブランドのイベントではこんなことを口にしさえした。

「たくさんの年俸をいただきながら、今シーズンたったの3ゴールです。もっと批判をしてほしいくらいです」

 シーズン終盤は先発メンバーから外されることさえもあった。

「スーウォンの地でサッカーに開眼した」

 しかし、2015年からプレーに変化が出てきた。

 鄭大世自身、清水の入団会見でこんなことを口にしている。

「一番大きな転機になったのは子供が生まれたことです。何か根本的なところからの変化がなければ生き残れないと思うようになりました」

 韓国で出会った夫人と2013年12月に結婚、2014年9月に長男が誕生した。そこで知った家庭のありがたみが、「野性味」から「知性」へとプレーの内容を変化させた。

 移籍前には韓国メディアに「スーウォンの地でサッカーに開眼した。幸せな時間だった」と口にしていた。かつては「ボールが来たらとにかくシュートを」と考えていたが、幅広いプレーでチームを支えられるプレーヤーに変化を遂げたのだ。清水の入団会見ではこんな言葉を続けている。

「真逆の考えですが、ゴール前に来たときは全部パスを出そうと考えるようになった。結果としてアシストの数もどんどん増えていき、ペナルティエリアの近くでも落ち着いてボールをトラップできるようになった。周りも見えて、チームも勝てるようになりました。それが大きく成長する転機となりました」

【次ページ】 フィジカルの強さがJリーグでは武器になる!

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