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「今はゲームメイクよりも、前で脅威に」
本田圭佑の変化と、変わらないもの。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byAFLO
posted2014/10/09 10:40
ゴールという結果が、何よりもチームと監督の信頼を得る特効薬である。セリエAで今季すでに4得点の本田圭佑は、代表でもその決定力を見せてくれるだろう。
180度変わった、ゲームメイクとゴールへの意識配分。
ただし「自分が変わる必要があった」と言うだけに、当然目に見える“変化”は存在している。
「W杯前から、もしかしたら180度ぐらい、まあ大げさかもしれないですけど大きく変わったことは間違いないですね」
そう語るのは、ゲームメイクとゴールのバランスである。
「代表が前進しようとするのであれば、いまは自分が試合を作るプレーに関与してはいけないと思っています。もしゲーム作りに関与するのであれば、それに集中するべき。前の選手は前の選手で“個”を追求するべき。自分自身は、今は前で勝負したい。ゲームメイクするよりも、前で脅威になることを追求している」
代表での役割に置き換えての話だが、ここにはミランでも見せている本田自身の変化がわかりやすく示されている。下がってゲームメイクを助けるプレーを意識的に減らすことで、ゴールにも結びつく。それこそが、最近の結果の源になっている。
2008年にオランダに渡って以降、本田は「日本で意識していたパスやアシストに力を注ぐプレーでは、欧州では埋もれてしまう。ゴールを獲ってナンボ」と話していた。プレーレベルには当然大きな成長が見られるが、最近の考えは「あの時に近いものはある」と話している。
変化の陰にある本田圭佑の「変わらなさ」。
“変化”がクローズアップされる一方で、筆者にはむしろその底にある本田の「変わらなさ」も感じられた。
それを象徴する言葉が、ゲームメイクについてのコメントの後に続いた。
「(前線の自分も中盤に加わった)数的優位の状況でボールを回すというのは、日本の良さだと思う。でも逆に言えば、日本は数的優位でないと回せない。そういう課題が、過去何年もありましたから。それを何とか解決しないといけない」
ここから浮かび上がってくるもの。それは本田が長年こだわり続けてきた、“個”の成長である。