優勝に最も近いのは、モウリーニョ2年目のチェルシー？

　それでも、王座は僅差でチェルシーのものと見る。昨季の優勝争いでは、格下相手の取りこぼしが致命傷となった。だが、今季期待のジエゴ・コスタはハードワークもこなす「モウリーニョ向き」である以上に、フィジカル十分の「プレミア向き」。同時に、プレミア実績と得点能力のあるセスク・ファブレガスという中盤深部の司令塔も得た。両者間の2列目ではエデン・アザールがキーマンであり続けるが、PSG移籍を自ら否定したチャンスメイカーは、チームの得点王兼アシスト王となった昨季以上のパフォーマンスを誓っている。

　守備の強度はリーグ随一。国内最高と言われるジョン・テリーとギャリー・ケーヒルのCBコンビの手前では、今年1月の加入で即戦力となったネマニャ・マティッチが、今季は開幕から中盤の盾となる。

　最後尾は欧州でも随一のペトル・チェフとティボウ・クルトワが正GKを競うハイレベルさだ。加えて、昨季もトップ4対決では計6試合で5勝1引分けだったように、強豪対決で結果を出すモウリーニョの腕は天下一品。攻撃色を強める可能性が高い2年目でも、ここ一番ではカウンターも有効活用するのだろう。ディディエ・ドログバという「パワープレー要員」を呼び戻してもいる。戦力アップで格下を確実に叩き、戦術の勝利でライバル対決を制しての優勝は現実的だ。

アーセナルの攻撃陣は屈指だが、「耐える力」に不安。

　アーセナルは後半戦まで優勝を争うと見られているが、3位が限界か？　理由はチェルシーとは対照的な強豪対決での弱さ。メスト・エジルをはじめ、攻撃的MF陣の魅力はトップ2候補にも負けていない。昨季後半を膝の怪我で棒に振ったセオ・ウォルコットも戦線復帰へのペースを上げている。

　だが、中盤中央に正真正銘のボランチがいないチームは、耐える力が必要になる上位対決で「腹筋」の弱さに泣くだろう。最後まで三つ巴のレースを展開するには、噂のサミ・ケディラ獲得レベルのパワーアップが必要と思われる。アーセン・ベンゲル監督の「優勝スマイル」が見られるとすれば、昨季に続いてカップ選手権となりそうだ。

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