リバプールが埋められない、スアレスの大きすぎる穴。

　監督の顔と言えば、リバプールのロジャーズは昨年から輪郭がシャープになる一方。本人が認めているダイエットの効果は抜群のようだ。

　しかし、スアレスという「ヘビー級」がバルセロナに去った今季は、チームも軽量化してしまった。130億円近い移籍金はアダム・ララーナ、ラザル・マルコビッチ、デヤン・ロブレンなど、計算できる攻守の新戦力獲得に還元されてはいる。とはいえ、31ゴールの他にリーグ2位の12アシストもこなしていた「別格」の穴埋めと、優勝候補としては「大量」ともいえる50失点の大幅削減は難しい。選手層も厚いとは言えず、2位で手にした5シーズンぶりのCL出場が不利に働く恐れがあり、昨季4強の中では真っ先に優勝争いから脱落し、「4位」へと目標の下方修正を強いられそうだ。

マンUはリーグ専念でも5位止まりが現実的か。

　昨季7位のマンUは、ヨーロッパリーグにすら出場できない状況が、プレミア注力を可能にする不幸中の幸いと見られている。10月上旬のエバートン戦まで昨季上位との対戦がないリーグ日程も、新チーム作りに時間が必要なマンUに優しい。にもかかわらず、予想されるのはトップ4返り咲き失敗。陣形が3バックであれ、4バックであれ、頼りない後方2列の守備力が5位止まりを予感させるのだ。

　攻守に中途半端だったデイビッド・モイーズ前体制では、期待された若手守備陣の成長も中途半端に終わった。クリス・スモーリングとフィル・ジョーンズがCBとして試合を重ねていれば、衰えが見られたリオ・ファーディナンドとネマニャ・ビディッチが契約切れで去っても、今後は安泰と言われていたはず。ところが、便利に使われた両者はCBとしてもSBとしても成長が不十分。

　足首を手術したマイケル・キャリックが開幕には間に合わず、アンデル・エレーラの加入だけでは心許ないボランチにも同じ事が言える。トム・クレバリーは、センターハーフとしてもサイドハーフとしても半人前のままだ。補強の可能性は開幕後も半月ほど残されているが、トップクラスの勧誘では、さすがのマンUもCLがないというデメリットに苦戦を強いられている。

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