プレミアリーグの時間BACK NUMBER
'14-'15シーズンのプレミアが開幕。
優勝、降格に、最初の解任監督まで。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2014/08/15 10:40
プレシーズンマッチで早速得点を決めている、チェルシーに加入のジエゴ・コスタ。本物のFWが、チームに悲願の優勝をもたらすか。
エバートンとトッテナムに上積みはなく……。
もっとも、再びエバートンとトッテナムの後塵を拝することにはならないだろう。両軍の戦力はトップ6狙いが限界。エバートンは、1トップにロメル・ルカク、ボランチにギャレス・バリーを獲得したが、実質的には契約形態がレンタルから完全移籍に変わっただけ。昨季からの戦力アップではない。
トッテナムは、昨夏のギャレス・ベイル離脱後に7名の即戦力候補を穫った「物量作戦」が失敗したまま。ヘッドハントされたマウリシオ・ポチェッティーノ新監督は、短期間でサウサンプトンにプレッシング・サッカーを浸透させた手腕の持ち主だが、いきなりチームをトップ4に押し上げるのは至難の業だ。
降格争いを避けられないチームも。
一方、昨季17位で辛くもボトム3を免れたウェストブロムウィッチでは、アラン・アーバイン新監督就任が経営陣の降格覚悟と受け止められている。5年前にプレストンでプレミア昇格を争っていたアーバインは、優しい目と静かな口調が印象的な好人物。だが、監督歴は2部での3年間しかなく、契約が1年毎の自動更新では早期解任が前提と勘ぐられても仕方はない。
サウサンプトンのロナルド・クーマンとスウォンジーのギャリー・モンクも、チームの降格と自身の解雇が危惧される新監督だ。クーマンはバルセロナでも鳴らした名DFで、監督歴も10年以上。しかしプレミア初挑戦にして、昨季8位の先発レギュラーの約半分を引き抜かれたチームを率いるはめになった。昨季終盤から指揮を執るモンクは、前主将だが監督自体が初挑戦。昨季12位のチームは、リーグカップ優勝を果たした一昨季から下降線の一途を辿っている。
もっとも、解任監督第1号の呼び声が高いのはウェストハム4年目のサム・アラダイスだ。降格の心配はないはずだが、ロングボールを多用する守備重視のスタイルが、「まっとう」なサッカーを好むコアなサポーターの間で大不評。今季は、ファンを自認する英国人共同オーナーからも「攻撃色強化令」を続投条件として言い渡されている。開幕戦の相手は、攻撃精神旺盛なポチェッティーノのトッテナム。ホームで守勢のまま敗れれば、不本意にも「監督解任レース」で開幕ダッシュとなりかねない。
開幕節のカードには、バーンリー対チェルシーもある。降格と優勝の最右翼対決だ。「サバイバル・レース」に備えるバーンリーに、大敗による最下位発進は禁物。対するチェルシーは、昨季は苦手とした格下相手のアウェイゲームを順当勝ちで終え、「タイトル・レース」で好発進といきたい。新シーズンの各種レースをお楽しみに。