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フランスの好調を牽引するベンゼマが、
W杯開幕前に語っていた自身の歩み。
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byGetty Images
posted2014/06/23 10:55
W杯初戦、ホンジュラスを相手に2得点を決めたカリム・ベンゼマ。左サイドのリベリーとのコンビネーションは失っても、欧州王者の不動の1トップの決定力は決して侮ることはできない。
「ロナウドを見て、ここでプレーしたいと思っていた」
――しかし5シーズン目となった今季は、アトレティコ・マドリーを破ってチャンピオンズリーグを制し、リーガ、国王杯に次ぐ3つ目のタイトルを獲得しました。まだ何か気づまりを感じていますか?
「いや、それはない。とりわけこの10度目のチャンピオンズリーグ制覇は、僕にとって初めてのチャンピオンズリーグであり、これを獲るためレアルに来たようなものだからね。世界最高のクラブで子供のときからの夢を果たしたわけさ。まだ僕が小さかったころ、ロナウドがここでプレーしているのを見て、いつか僕もこのクラブでプレーしたいと思っていた。チャンピオンズリーグについては、クラブと契約したその日から言われた。その目的を達成できたわけだし、僕に多大な信頼を寄せてくれたフロレンティーノ・ペレス会長にも恩返しができた。胸がいっぱいになった。
26歳で僕は、レアルで手に入れたいと夢見てきたすべてのタイトルを獲ることができた。リーガから始まって国王杯、そして今度のチャンピオンズリーグ。素晴らしいじゃないか!リヨンで獲得したタイトルとあわせて、すでに十分なキャリアを築くことができた。そのためにここまでサッカーをしてきたんだ」
ジダンはフランスとレアルの歴史を作った。
――2002年の日韓ワールドカップの前に、ジネディーヌ・ジダンもまた自身の伝説的なボレーシュートで決勝点を決めて、レアル・マドリーに9度目のチャンピオンズリーグのタイトルをもたらしました。12年後に彼の業績を継げたのを誇りに思いますか?
「もの凄く幸せだ。ロナウドと並んで、僕はジズーにもずっと憧れていたからね。彼はフランスとレアルの歴史を作った。今は僕の後ろでずっと支えてくれている。アドバイスをくれるのはもちろんだけれど、僕が批判されたときには盾となって擁護してくれる。兄のように感じているよ。彼は僕を擁護し、僕は彼を尊敬している。彼も僕を尊重する。僕らの関係はとても力強い」
――彼がアシスタントになってからは、日常的にどんな関係なのでしょうか?
「毎日話し合っている。レアルとフランス代表で僕が成功することを、彼が心から望んでいるのは強く感じる。頼りになる家族のような存在さ」