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フランスの好調を牽引するベンゼマが、
W杯開幕前に語っていた自身の歩み。
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byGetty Images
posted2014/06/23 10:55
W杯初戦、ホンジュラスを相手に2得点を決めたカリム・ベンゼマ。左サイドのリベリーとのコンビネーションは失っても、欧州王者の不動の1トップの決定力は決して侮ることはできない。
アンチェロッティは掛け値なしに尊敬されている。
――技術的にはどんなアドバイスを受けているのでしょうか?
「ストライカーとしての動き方が多い。ゴール前での位置の取り方やセットプレー、ボールの要求の仕方などいろいろある。彼の要求はとても細かく緻密だ。たとえばニアポストに入るやり方などは、何度も繰り返して教えてくれた。それから試合のビデオもよく一緒に見る。特に相手ゴールキーパーの動きはよく見るように言われている。
でもそんな真面目な話ばかりじゃない。よくふざけあうし、僕がいいプレーをしたときには必ず褒めてくれる」
――たとえばどんな風にですか。
「少し前には自分が現役だったころに、僕のようなストライカーと一緒にプレーがしたかったと言ってくれた。自分のパスで僕に得点をさせたかったと。もの凄く嬉しかった」
――選手を挑発して刺激を与えることが批判されたジョゼ・モウリーニョの後に監督に就いたカルロ・アンチェロッティは、あなたに何をもたらしてくれましたか?
「彼はもの静かでとても落ち着いている。その落ち着きが、僕らに好影響を与えている。僕らへのメッセージにしても、彼は僕らを不必要に刺激することなく伝える。だからロッカールームの中でも、掛け値なしに尊敬されている。彼が何かを言ったときは、とても真摯なものを感じる。何かの役割を演じているわけでもないし、虚勢を張っているわけでもない」
「フランスも馬鹿にならないぞ……」
――レアル・マドリーにはさまざまな国籍の選手がいて多くはワールドカップに出場しますが、すでに選手たちの間でワールドカップは話題になっていますか?
「抽選会のときにはずいぶん話したよ。実際に対戦相手が決まって、大会を具体的に考えられるようになった。特にスペイン人たちは、ロッカールームで気勢を上げていた。今は彼らが支配しているから、ワールドカップも連覇すると息巻いていたよ(笑)。他の選手たち、クリスティアーノ(ロナウド)やディマリア、マルセロ、モドリッチ、ペペなどは、彼らを静めるのに大変だった」
――それではあなたは抽選の後に何と言いましたか?
「君たち、そう騒ぐなよ。フランスも馬鹿にならないぞ……」