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「宮里・横峯」時代の歯車が動いた!
新賞金女王・森田理香子が歩む道。
text by
小川勝Masaru Ogawa
photograph byKyodo News
posted2013/12/03 11:35
賞金女王の座に決定し、祝福される森田。横峯という元女王と競り合って勝ち抜いたからこそ、よりその勝利の意味も大きかったといえる。
横峯との直接対決を制した新賞金女王は時代を変えるか。
しかし、宮里、上田、有村が米ツアーに参戦して、新しい「日本ツアーの顔」が求められていたと言える。「宮里・横峯世代」からひと世代下のスター候補、金田久美子、木戸愛といった選手たちの中から、今年、森田が抜け出したことになる。しかも、日本ツアーをリードしてきた横峯との対決でタイトルを取ったことは、大きな歯車がひとつ分回ったことを印象づけた。
最終成績は
森田 1億2667万5049円
横峯 1億2537万1638円
森田4勝、横峯4勝。最終戦の1打差で決着するという、日本女子ゴルフの歴史に残るタイトル争いだった。
森田は、祖父がゴルフ練習場を経営していたことから8歳でゴルフを始めたという経歴の持ち主で、中学2年まではプロの指導を受けたことがなかった。中学3年の時、練習場に足立香澄がボールを打ちに来たことがきっかけで、指導を受けるようになったという。
小技の課題を補ってあまりある圧倒的な飛距離。
女子ゴルフ人気をけん引してきた宮里、横峯と比べた時に、森田が異なっているのは、アプローチという小技に課題を残しながら、賞金女王になったことだ。武器は一にも二にも飛距離。昨年、ワールドレディスサロンパスカップで計測されたドライバー平均飛距離は265.67ヤードで、出場選手中1位だった。この飛距離を生かして、年間11個のイーグルを記録、日本女子ツアーの年間イーグル数最多記録を塗り替えている。
一方、最近の横峯は小技が得意だ。2パットでパーが取れるようにグリーンに乗せることを「パーオン」というが、この「パーオン」ができなかったピンチの状況から、最終的にパーか、それよりいいスコアで上がる確率を「リカバリー率」という。横峯は今年、これが68.91%で、日本ツアー出場選手の中で2位だった。これに対して森田は61.91%で36位。パーオンできないと、パーが取れる確率はあまり高くなかった。