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大宮の快進撃はどこまで続くのか?
大波乱が起きたJ1前半戦を総括。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2013/06/01 08:01
昨季の9月1日から続いていた大宮のJ1連続無敗記録は5月11日に「21」でストップしたが、その勢いは衰えず前半戦首位を確保している。
堅守で競り勝つ横浜FMはベテランの体力が懸念材料。
3位につけた横浜FMも健闘している。シーズン前、小野裕二、大黒将志、狩野健太、谷口博之らが抜けたが、J1クラブからの獲得はゼロ。大幅な戦力ダウンにより、上位進出は難しいと見られていた。
だが、昨年のリーグ最小失点を誇る粘り強い守備と中村俊輔の飛び道具で活路を見いだし、勝ち星を重ねている。もっとも総得点25点のうち、セットプレーから10点を上げ、1-0や2-1の勝利が多いように、相手を圧倒する感じではない。先制点を奪い、豊富な運動量でしぶとく守り勝つのが、今のマリノスの流儀だ。ただ、これから夏になるとベテランが多いだけに運動量が落ちてくることが予想される。それをフォローする若手がどれだけ出てくるか。
危険水域を脱した川崎フロンターレは後半戦の台風の目。
中断前、息を吹き返したのが8位の川崎フロンターレだ。
4月までは先制され、失点を重ねる展開を続けて一時は最下位手前まで落ちた。だが、5月3日の名古屋戦で風向きが変わった。
追い付かれた後、引き離して勝ったことで自信を取り戻したのだ。それから攻守のバランスが改善され、セレッソ戦では0-2から追い付くなど、粘りも出てきた。中断までの5試合は4勝1分け。中村憲剛は「ようやく攻守ともにフィットしてきた」と言ったが、完全に危険水域だけは脱した。中断以降、巻返しが楽しみなチームの筆頭だ。
興梠慎三や森脇良太ら大幅補強した2位の浦和、トニーニョ・セレーゾが監督に復帰した4位の鹿島、さらに昨年優勝した広島(5位)もまずまずの順位に付けている。
4月は2分け2敗と調子を落としたセレッソ大阪も柿谷曜一朗らの活躍で、5月は3勝2分けと調子を上げ、6位につけた。
関塚新監督は不振にあえぐ磐田をいかに建て直すのか。
一方、不振に喘いでいるクラブもある。
11位の柏はACLベスト8に勝ち進んだ勢いをリーグ戦に活かせていない。仙台も鬼門の清水戦で完敗するなど、4勝4敗5分けで10位と波に乗り切れていない。
ジュビロ磐田はGW中に成績不振で森下仁志監督を解任。そのカンフル剤も効果は出ず、1勝8敗4分けで17位に沈んだ。
だがこの成績不振はある程度予測可能だった。
昨年の終盤、磐田は引き分けを挟んで6連敗を喫した。最終戦、ガンバ大阪に勝ったものの、怪我人が続出して勢いと自信を失った若いチームは、建て直すことができないままだったのだ。
森下体制2年目は、日本代表の伊野波雅彦を獲得したものの積極的な補強はせず、現有戦力の伸び代に期待した。だが、先制される展開で勝ち星を落とし続け、チームは自信を喪失。その姿は、まるで昨年の終盤の不調をシーズンを跨いで継続しているようだった。中断明けからはロンドン五輪代表監督だった関塚隆が指揮を執る。攻撃が好きな監督だが、その手腕が注目される。