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柏、日本勢2年ぶりのACLベスト8!
全北現代戦で見せた2つの強みとは?
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byAFLO SPORT
posted2013/05/23 12:35
試合後、ゴール裏でサポーターへの感謝を伝えていたレイソル・イレブン。3点目を決めたエース工藤(右端)には、23日の代表メンバー発表にも期待がかかる。
1年前の2012年5月30日、一発勝負のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)ラウンド16で、韓国の蔚山現代に敗れた直後、柏のDF近藤直也は怒りを含んだ険しい表情でこう話した。
「チームとして、負けた現実は受け入れないといけない。でも個人的には、ああいうサッカーに負けたことが納得できない」
90分間を通じて196センチのFWキム・シンウクにひたすら放り込む蔚山現代のサッカーに、1年前の柏レイソルは“力負け”を喫した。そんな無機質なサッカーに、前年のJリーグを制する過程で築き上げた有機的なサッカーが通用しなかったことが何よりもどかしかった。結果的には、その蔚山現代がアジア王者に君臨したことも納得できない――。
悔しさを噛み締めていたのは、もちろん大型FWの圧力を直接受け続けた近藤だけではない。あの舞台を経験した誰もが、ACLで結果を残すことの難しさと、この舞台で勝つことへの大きなモチベーションを持って今シーズンを迎えた。その最初の壁が、昨シーズン越えられなかったラウンド16である。
アウェーでの戦い方も、お手本通りの完璧な展開だった。
5月15日の全北現代戦。敵地の第1戦で手にした結果は、まさに昨シーズンの教訓を生かして手にした勝利だった。
相手の最前線には187センチの韓国代表FWイ・ドングッが位置し、その背後から同じく韓国代表でテクニシャンのイ・スンギ、高精度のプレースキックを武器とするエニーニョがサポートする。Kリーグのクラブにしては中盤でパスをつなぐスタイルを特徴とするが、やはり勝負どころでロングボールを放り込むサッカーには迫力があり、柏にとってはこの圧力をいかにうまく吸収するかが課題だった。
結果は2-0。
GK菅野孝憲のビッグセーブに救われたシーンも少なくなかったが、それを含めてのチーム力である。
試合開始早々の3分にエースの工藤壮人が先制弾を決め、23本のシュートを浴びながら無失点に抑え、終盤の74分にセットプレーから増嶋竜也が追加点を奪って逃げ切るという展開はアウェーの戦い方としてはまさに完璧だった。