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<2013女子プロゴルフ展望> 古閑美保が語る 「女王・全美貞に立ち向かう期待の若手たち」
text by
吉井妙子Taeko Yoshii
photograph byTaku Miyamoto
posted2013/03/07 06:01
全美貞(Jeon Mi-Jeong)'05年のツアー参戦以来、圧倒的な技術力を武器に通算21勝を挙げている。
外国人選手の活躍の中、日本勢は巻き返しを図れるのか。
日本経済低迷の影響を受け、日本スポーツ界を取り巻く環境は厳しい。そんな中、唯一女子ゴルフ界は活況を見せ、年を追うごとに華やかになり試合数も増えている。
今季、米女子ツアーが年間29試合であるのに対し、日本は36試合。1試合当たりの賞金額も増加の傾向にあり、今シーズンの賞金総額は、31億3600万円と過去最高となっている。そのため、日本ツアーに参戦する外国人選手は年々増えている。昨季は韓国人選手が16勝を挙げ、日本人選手の15勝を上回った。日本勢は巻き返しを図れるのか。
ジョン・ミジョンが最強と言っても、穴が無いわけではないんです。昨シーズン、初優勝を飾った選手を6人も輩出したように、国内には若くて可能性を秘めた日本人選手が団子状態で上位を覗っている。誰にでも勝利のチャンスが転がっていると言ってもいい状態なんです。
でも、2勝目、3勝目を挙げられないのには理由があるんです。選手たちが、自分のすべてをゴルフに賭けているかと言ったら、私はそうじゃないと思っています。もちろん、誰もが「もっと勝ちたい」と言うし、一生懸命に努力はしているかもしれないですが、その“濃さ”が韓国勢とは違うような気がする。
昨年の最終戦を制したイ・ボミが「日本人選手は情熱が足りない。韓国の選手は家族も養っているし、強い気持ちで闘っている」とコメントしていました。まさにそこじゃないでしょうか。もちろん、自分の現役時代の反省を込めてですけど。
私はゴルフで賞金を稼がなくても家族が困るわけでもないし、ただ、勝つと家族が喜んでくれるので、そんな顔を見たいがために頑張った。日本人選手は皆そうなんじゃないですか。
でも、女子ゴルフ界がこれだけ賑わっているのは、応援してくれるファンがいて、支えてくれる大勢の関係者がいるからです。「当たり前のようにゴルフが出来て、多額の賞金を稼げる」のは何故なのか、ということをもう一度原点に帰って考えてみる必要があると思います。
年齢による歪みを修正するには、練習を増やすしかない。
女子ゴルフ選手の寿命は意外と短い。トップでいられるのはせいぜい4~5年です。その大事な時間をゴルフだけに集中し、プライベートな時間は捨てたっていいと思う。
25歳を過ぎると確実に女性の身体は変わるんです。技術は落ちませんが、目に見えない身体の変化があるんです。私は賞金女王を獲る前くらいから身体の変化を感じていました。
たとえばそれまでは、テイクバックしてダウンスイングしたときに、『あっ』と思った瞬間、インパクトで修正できた。でも、年齢を重ねるにつれ、修正できなくなってしまう。多分、ホルモンの関係で脳からの指令が遅くなってしまうのかも知れません。その歪みを修正するのは練習を増やすしかないんです。