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ノルディック世界選手権プレビュー。
“道具”の差にめげず奮闘する選手達。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKYODO
posted2013/02/11 08:01
2月2日、来年の五輪の舞台であるソチでのワールドカップの女子距離複合で力走する石田正子。今季は1月のフランス・ラクルーサでの女子10kmでの4位が最高。年明けになってしり上がりに調子を上げている。
2月20日(現地時間)から3月3日まで、ノルディックスキーの世界選手権がバルディフィエメ(イタリア)で行なわれる。ジャンプ、ノルディック・コンバインド(複合)、クロスカントリーの3つの競技の計20種目が実施される。
プレ五輪イヤーということもあり、各国ともに一線級の選手がそろい、ソチオリンピックを見据えての争いとなる今大会。選手個々はもとより、冬季競技ならではの要素においても、日本の実力が問われる場でもある。
それは道具、用具の部分である。
冬季競技は全般に、それらが成績に大きくかかわるからだ。
例えばジャンプで言えば、スーツがある。
スーツはこの1年で、2度にわたりルールが変更された。昨春、従来のルールではスーツと体とのサイズの差が6cmまで認められていたのを、ボディーのあらゆる部分においてぴったり体にあったものでなければならないとなった。その後、シーズン開幕を前に、プラス2cmまでかまわないと再び変更された。
めまぐるしいルール変更に対応しきれない日本勢の現状。
それがどう成績に影響したか。
密着したスーツを使用した昨夏の国際大会では、日本勢が次々に表彰台に上り、総合ランキングでも、初優勝を飾ったバンクーバー五輪代表の竹内が3位、18歳の新鋭、清水礼留飛が4位に入るなど好調ぶりをみせた。体に密着したスーツを使用するということは、道具のよしあしによる差がなくなり、選手個々の技術そのものが問われることになる。その中で日本勢の成績が飛躍的に上がったのは、日本選手の技術力を証明する結果でもあった。
しかし、冬のシーズンの開幕を前にプラス2cmに再び変更されたことで状況は変わった。目に見えるように日本の選手たちの成績が落ちていったのである。