スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
CL制覇で勇退か、敗退で解任か──。
勝利至上主義者モウリーニョの落日。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byDaisuke Nakashima/AFLO
posted2013/01/23 10:31
1月15日の国王杯バレンシア戦後には、エースのC・ロナウドとも口論があったと伝えられたモウリーニョ。
解任を求めるファン投票が82.4%にも!!
その真意がどうであれ、「カシージャス外し」をきっかけにモウリーニョに対する風当たりは今までになく厳しくなっている。年明け初戦のレアル・ソシエダ戦で指揮官の名がアナウンスされた際、サンティアゴ・ベルナベウは大きなブーイングに包まれた。
国内最大手のスポーツ紙『マルカ』はファンに大規模なアンケート調査を行い、モウリーニョへの評価が2年前と比べて大幅に低下したこと、解任を求める票が82.4%に上ったことなど、世論や統計データを用いての解任キャンペーンを連日繰り広げている。
強豪マンUと激突する1回戦で勝負師の真価が問われる。
チームは年明け以降も不安定な戦いを続けている。
CLの決勝トーナメント1回戦ではいきなり強豪マンチェスター・ユナイテッドと対戦するだけに、今の調子ではシーズン終了まで3カ月も残す時点で今季最後の目標を失ってしまうことになりかねない。
勝利至上主義者、タイトルのための監督などと揶揄されることに胸を張ってきたモウリーニョだが、今の状況ではデシマ獲得と共に勇退する形以外、勝者となる道は残されていない。
はたして彼はキャリア最大の苦境にどう立ち向かうのか。2月13日のマンU戦は、勝負師モウリーニョの真価が問われる一戦となるはずだ。