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「監督力の差が出てしまった」敗れた早大監督が記者にポツリ…青学大・原晋監督の“恐るべきピーキング”、9区佐藤有一が証言「箱根駅伝本番で1kmを14秒速く走れた」
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生島淳Jun Ikushima
photograph byJIJI PRESS
posted2026/01/06 17:22
5区、早稲田大・工藤慎作(3年)を抜き去る青学大・黒田朝日(4年)。今年の箱根駅伝で最も衝撃的なシーンだった
「監督力の差が出てしまいました。練習を十分に消化した選手たちはしっかり結果を出してくれましたが、不安があった7区、8区については、それが的中してしまいました。今回は、10人全員の調子を合わせられないと、優勝はおろか、3位に入ることも難しかったということです」
早大の場合は選手層が薄く、1枚、2枚欠けた場合のダメージが大きいのだ。
恐るべきピーキング、選手の証言「1kmを14秒も速く…」
では、青学大はどうやってピーキングを箱根駅伝に合わせているのだろうか。出雲駅伝、全日本大学駅伝については、箱根駅伝に向け、あくまでその過程にある大会だと、割り切っている面がある。この割り切り方は、他の大学ではなかなか真似できない。
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青学では、11月中旬から競争が激しくなり、11月下旬から12月上旬にかけての千葉・富津の合宿で強度の高い練習を積み、箱根駅伝に向けて体を作っていく。
今回、9区で区間賞を取った佐藤有一は、ピーキングの流れをこう話してくれた。
「全日本では5区を走って、駒澤の伊藤蒼唯君に力の差を見せつけられましたが(佐藤は5区区間4位)、その後の11月22日のMARCH対抗戦はまあまあの出来でした。そしてメンバー選考にとって重要な11月下旬から12月上旬の千葉・富津での合宿からどんどん調子が上がってきたんですよね。合宿の流れを知っていることと、4年間積み上げてきたことが生きていたんだと思います。そして、レースの2週間前くらいに、監督から『佐藤、調子良いね』と言われたんです」
その場で原監督から佐藤に質問があった。
「6区と9区、どっちを走りたい?」
夏合宿の時点で、佐藤は山下りを希望していた。「(昨年の青学大6区で区間記録を出した)野村昭夢さんのタイムはむずかしいかもしれませんけど、プラス1分くらいなら」と話していたほどだ。しかし、12月の時点での希望は変わっていた。
「9区を走りたいです、と答えました。MARCH対抗戦、そして合宿と平地の練習を重ねていたので、下りに対する不安がありました。ただ、6区は石川(浩輝)が候補でしたが、彼が故障していたので、その場合は僕が山を下るつもりでいました」
こうして希望を伝え、本番まで2週間を切ると、刺激を入れつつも調整期間に入る。佐藤は好調を維持したまま、1月3日を迎えた。
先頭でたすきを受け、走り出してみると、気持ちが良かったという。


