箱根駅伝PRESSBACK NUMBER

青学大「神去りし後の山」に挑んだある“無名のランナー”の追憶…箱根駅伝の絶対王者“史上初の3連覇”はなぜ達成できた?「不安はなかったです。でも…」

posted2026/01/06 11:00

 
青学大「神去りし後の山」に挑んだある“無名のランナー”の追憶…箱根駅伝の絶対王者“史上初の3連覇”はなぜ達成できた?「不安はなかったです。でも…」<Number Web> photograph by BUNGEISHUNJU

“3代目・山の神”神野大地が卒業し、箱根駅伝3連覇&駅伝3冠に向けての「鬼門」だった山上りへと挑んだ貞永隆佑。果たしてその経緯はどんなものだったのか

text by

別府響

別府響Hibiki Beppu

PROFILE

photograph by

BUNGEISHUNJU

 青山学院大学による史上初となる「2度目の3連覇」達成で幕を閉じた102回目の箱根駅伝。実は今から9年前の2017年、同校初の箱根駅伝3連覇と史上4校目となる「大学駅伝3冠」を狙っていた青学大には、巨大な穴が開いていた。「神」が去った後の山を、誰が担うのか――。“三代目・山の神”こと神野大地が、前年に卒業。絶対王者の「唯一の懸念」と囁かれた5区・山上りを託されたのは、それまで学生三大駅伝への出場経験は一度もない、無名の3年生だった。《NumberWebノンフィクション全3回の1回目/つづきを読む》

「あぁ、これは俺が山を走るんじゃなぁ――」

 2016年の11月のこと。年始の箱根駅伝まで2カ月を切った頃、青学大3年生だった貞永隆佑は、周囲の雰囲気からそんなことを感じ取っていた。

 この年の貞永は、山上りの5区候補の一人だった。だが、他にも実力の拮抗するランナーが何人かいたため、なかなか本番を走るという確信を得られずにいたのだ。

ADVERTISEMENT

 他のランナーたちの走力を見るにつけ「2番手候補だと思っていた」という貞永の運命が変わったのが、この11月である。第1候補と思われていた先輩ランナーが、故障で走れなくなったのだ。

大学駅伝デビューが…箱根の「山上り」!?

 本番まで2カ月を切った段階での故障は、ピーキングを考えると出場は絶望的である。

 現実的に自分が走る可能性が高くなったことは、原晋監督やチームメイトの反応を見ても間違いなさそうだった。

「初の大学駅伝で、しかも重要な区間ということもあって、怖さはありました。でも、もちろんやっとチャンスが来たという想いも同じくらいありました」

 一方で、この年の青学大の山上り=5区に選ばれることは、例年以上の意味を孕んでいた。

 ひとつはそこまでチームが出雲駅伝、全日本大学駅伝と学生三大駅伝を2つ勝ち、青学大として初の学生駅伝三冠がかかっていたこと。そしてもうひとつ――最も大きかったのが「神」が居なくなった後、初めての箱根路だったことだ。

 当時の青学大は2015年の初優勝から箱根駅伝を連覇し、この年は3連覇を狙っていた。

 その2度の箱根優勝の原動力となっていたのが、“三代目・山の神”こと神野大地の存在だった。圧倒的なクライマーであり、その区間だけで後続に数分もの差をつけられるアドバンテージは、当時の青学大にとって唯一無二の武器だった。

【次ページ】 「区間5位前後ではいける」…ひそかな自信も

1 2 3 4 5 NEXT
#青山学院大学
#貞永隆佑
#神野大地
#原晋
#田村和希
#下田裕太
#世羅高校

陸上の前後の記事

ページトップ