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「トラックとかとぼけたことを言っちゃダメ」青学大・原晋監督が別大マラソンで激励の“意外な相手”とは? 箱根駅伝の最強ライバルが見た「青学メソッドの衝撃」
posted2026/02/04 11:03
「トラックではなくマラソンで勝負」と主張する青学大の原晋監督。別大マラソン後には他大学のエースにも原流の「激励」が
text by

酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph by
Nanae Suzuki
青山学院大の原晋監督は別府大分毎日マラソンでRKB毎日放送のテレビ解説を務め、戦況をつぶさに追っていた。見ていたのは教え子だけではない。目についたひとりが中央大の溜池一太である。レース後、藤原正和監督や溜池を見つけると、広島訛りがわずかに残る口調で気安く話しかけた。
「(2時間)8分台だったの?」
「7分59秒です」
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「頑張ったじゃん!」
そして、こう言い放ったのである。
「マラソンしかないよ~! トラックとか、とぼけたことを言っちゃダメだよ! ハハハハハ」
箱根駅伝がはじまる前、原は1万mの上位10人の平均タイムが史上初の27分台を記録した中央大のスピードを警戒していた。青学大の黒田朝日と同じ4年生の溜池は最大のライバル校のエース格であり、箱根駅伝では2区で区間6位の力走をみせた。
4年連続箱根出場の実力派は卒業後、SGホールディングスで現役をつづける。その力量を認めるからこそ、原は他校の選手にもかかわらず、声をかけたのだろう。
原監督「唯一、世界を目指せるのはマラソン」
原の高笑いはしかし、本音である。最近、原は口癖のようにこう唱えるのだ。
「日本人が世界を目指せる種目はマラソンしかありません。唯一、日本人が戦える領域なんです」
この日の溜池は初陣とは思えないほど、落ち着いていた。先頭集団のなかで自らの位置をキープし、淡々とピッチを刻む。
腰高のフォームは端正で、彼の周りにはゆったりとした時間が流れていた。30km地点でペースメーカーが外れたとき、先頭に躍り出たのが溜池だった。

