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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「陸上は年間通してシーズンなので…」なぜ実業団は青学大・原晋監督の“挑発”に乗らなかった? 史上初の実業団vs大学レース…エキスポ駅伝ウラ話
posted2025/03/24 06:01

史上初の大学と実業団による対抗レースとなったエキスポ駅伝。結果は実業団のトヨタ自動車が圧勝だったが、様々な課題も見えてきた
text by

和田悟志Satoshi Wada
photograph by
JIJI PRESS
実業団と大学生が日本一をかけて争う史上初の駅伝「ACN EXPO EKIDEN 2025」は、トヨタ自動車の圧勝で幕を閉じた。レース前から青学大の原晋監督の実業団に対する好戦的なコメントも紙上を賑わせたが、そのウラには関係者だからこそ感じる駅伝界の“危機感”があったという。《全2回の2回目/最初から読む》
そもそも今大会に、ベストな布陣で臨めたチームがどれほどあっただろうか。
会見や囲み取材では、開催時期についての質問が指揮官や選手に投げられた。
「陸上は年間を通してシーズンになっていますので、その中で新たな大会となると、なかなか難しいところがある」
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トヨタ自動車の熊本剛監督がこう答えたように、長距離種目は年間を通して試合がある。秋冬には駅伝やロードレース、クロスカントリーがあり、春から秋にかけて暖かい時期はトラックレースのシーズンになる。さらには、その中で脚力を強化する鍛錬期も設けなければならない。
優勝したトヨタ自動車でも「人数ギリギリ」
それに、1回のレースでのダメージも大きく、そこまで連戦をこなせるわけでもない。何回も調子のピークを作るのはなかなか大変だ。エキジビション的な意味合いならともかく、真剣勝負となれば熊本監督がこう回答したのはもっともだ。
現にトヨタ自動車の場合、2月24日の大阪マラソンに5人、3月2日の東京マラソンに2人の計7人がマラソンを走ったばかりでEXPO EKIDENに起用できなかった。メンバー的にも「人数ギリギリ」だったという。
原晋監督の挑発に乗らずに外国人選手を起用したのも、こういった事情があったからだった。ともあれ、ギリギリのメンバーで臨んだのにもかかわらず、勝ち切ったのはさすがだったが。