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バレーボールPRESSBACK NUMBER
京大合格者も…“文武両道”愛工大名電バレー部の部活改革がスゴい「バレーボールだけやってていいの?」私学スポーツ強豪校が本気で考えた“その後の人生”
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph byYuko Tanaka
posted2025/12/30 11:04
3年ぶりに春高バレー出場を決めた愛工大名電高校。初戦は1月5日、大阪の常翔学園と対戦する
かつては「空いた時間はすべて練習」に充ててきたが、テスト期間中は1週間前から練習を休みにして勉強を優先した。高校生ならば当然のことではあるのだが、強化指定部である以上、結果も求められるだけに葛藤もあった。
県内外の強豪校と比較したとき、圧倒的に練習時間が短い環境で本当に勝てるのかと懐疑的な視線を向けられた。実際に選手を集めるうえでも成績が足りずに声がかけられない選手もいるなど、数々の困難も生じていた。本格的に「普通コース」に切り替えてからの2年間、全国大会から遠ざかってきたこともあり、北川監督の挑戦を前向きに見る目ばかりではなかった。
それでも勉強とバレーボール、どちらも両立して頑張りたいという子どもたちと共に試行錯誤の末に歩んできた3年間。ひとつの山を越えたのが、今年の愛知大会だった。
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「春高出場」を目標に掲げ、実現させた選手たちの喜ぶ顔を見て「目標は叶えたので春高はボーナスステージ」と北川監督は笑う。ただ、周囲が見る目の変化も明らかに感じたと噛みしめる。
愛知県予選を突破し、3年ぶりに春高バレー出場を決めた愛工大名電(公式Instagramより)
「今までの常識ならば、練習時間は長く、生活のすべてをバレーボールに注いで、バレーボールに捧げるのが当たり前。でも僕らは真逆じゃないですか。こんな短い練習時間で、本当に全国に行けるのかと思われていた中で、今回『できる』と伝えることができた。目標を達成した生徒たちだけでなく、小学生、中学生にもいいお手本のチームができたかなとは思いますね」
バレーホール“だけ”ではなくバレーボール“も”ある人生。春高バレー優勝を狙う強豪・星城を撃破して掴んだ愛知県代表の座は、その成果を示す、大きな一歩だった。
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ここからは北川監督と共にユニークな個性を持つ選手たちの才能を育んだ、“専属コーチ”の存在に迫る。元日本代表リベロが高校生に“伝えたこと”とは?〈つづき→後編〉
