- #1
- #2
バレーボールPRESSBACK NUMBER
「医学部志望」「理系職で安定した人生を」春高バレー出場部員の意外な進路…“私学スポーツ強豪校”の部活改革「監督&コーチは元日本代表」
posted2025/12/30 11:05
愛工大名電高校バレーボール部のミーティング風景。3年ぶりに春高バレー出場を決めた
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Yuko Tanaka
春高バレー開幕が3週間後に迫る12月中旬、3年ぶりの春高出場を決めた愛工大名電の練習に北川祐介監督が現れた。しかし、ジャージやTシャツではなく、授業時と同じジャケット姿。
「今日は“彼”が来てくれるので。練習メニューも、任せているんです」
北川監督の視線の先にいたのは、北川と同じく元バレーボール日本代表の古賀幸一郎、その人だ。2007年から2021年までNECや豊田合成(現ウルフドックス名古屋)のリベロとしてプレーし、Vリーグベストリベロ賞を6年連続で受賞した名選手。現役引退後は解説者やファイナンシャルプランナーとして活躍の場を広げるなか、2023年から新たに“文武両道”を掲げる愛工大名電バレーボール部の専属コーチを務めている。
専属コーチ招聘の理由
ADVERTISEMENT
現役時代の北川監督はミドルブロッカーで、Vリーグでブロック賞を5度受賞したブロックのスペシャリストではあるが、「レシーブやトスに関しては専門外」と自認している。古賀氏にはレシーブの強化を依頼し、他にもセッターやトレーニング面を強化する専属コーチをそれぞれ招聘した。
目的はシンプルだ。部員のほとんどが「スポーツコース」に在籍していた時は週に3度は午後から授業の一環として部活動に時間を割くことができたが、「特進選抜コース」「普通コース」に在籍する現在は練習時間が短くなった。より練習の質を高めるため、北川監督はまず旧知の仲である古賀氏に声をかけた。
古賀氏の練習参加は週に1回だが、経験則に基づく指導の効果はてきめんだった。「無理に返そうとせず、身体に当てて上に上げる意識を持てばいい」と実際に自らやって見せる。そのうえで飛んでくるボールに対しての身体の向きや、手の合わせ方を説くため、選手もイメージと実践がしやすい。3年ぶりの春高出場を決めた星城との愛知県大会決勝でも「古賀さんの言う通りにやったら、強いサーブにもエースをとられず上げられた」と明かした選手もいた。


