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バレーボールPRESSBACK NUMBER
京大合格者も…“文武両道”愛工大名電バレー部の部活改革がスゴい「バレーボールだけやってていいの?」私学スポーツ強豪校が本気で考えた“その後の人生”
posted2025/12/30 11:04
3年ぶりに春高バレー出場を決めた愛工大名電高校。初戦は1月5日、大阪の常翔学園と対戦する
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田中夕子Yuko Tanaka
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Yuko Tanaka
激戦区・愛知県予選を勝ち抜いた愛工大名電が3年ぶりに春高バレー出場を決めた。この事実に加え、もう一つ着目すべき点がある。
それは、部員たちが主に「スポーツコース」ではなく「特進選抜コース」や「普通コース」に在籍する生徒で構成されていることだ。
同高バレーボール部は、かつてイチローや工藤公康らを輩出した野球部と並ぶ強化指定部の一つだ。以前は野球部と同様に、多くがスポーツコースに在籍する選手で構成され、週に3度は午後から授業の一環として部活動に時間が割くことができた。しかし、3年前から“脱スポーツコース”を掲げた。2010年から母校の指揮を執る北川祐介監督(48歳)が、その狙いを明かす。
昨年の卒業生には京大合格者も
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「最初は僕も勝ちたかったので、(就任2年目から)スポーツコースに限定しました。その翌年にインターハイに出て、2014年度には春高ベスト4に入った。しばらくは勉強よりもバレー優先という時代が続きましたが、OBたちの“その後”に目を向けると、大学で留年したり、社会に出てからも仕事が限られていたりと、本当にバレーだけでいいのかと思わされる現実がありました。バレーボールだけで人生を送れるのは本当に一握りなので、高校時代は“机に向かう習慣をつけること”のほうが大事じゃないか、と思ったんです」
昨年の卒業生の中には共通テストで京都大学に合格したOBがいるなど学業面ではすでに成果を残していたが、今回の春高バレーはこの施策が始まってから3学年揃っての初の大舞台となる。つまり、文武両道を体現して掴んだ春高切符だった。しかも決勝では今夏インターハイ8強のエリート集団・星城を撃破して――。
“脱スポーツコース”の背景には、北川監督の経験則が影響している。

