- #1
- #2
バレーボールPRESSBACK NUMBER
「うるせー、クソ指導者!」暴言まさかの謹慎…“まるでハイキュー!!”と感動を呼んだ高校生の成長物語「じつは問題児だった“身長169cmのエース”」
posted2025/02/13 11:02

春高バレー2回戦、慶應義塾高校との激闘を終えて整列する鳥取中央育英高校。身長169cmのエース星原(左)は仲間に肩を支えながら会場を後にした
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Sankei Shimbun
高校最後の春高バレーを終えて、早いものでひと月が過ぎた。詰め襟の制服で体育館に現れた“小さな大エース”は、ユニフォームを着てコートに立った時よりも少し大人びて見えた。
「春高が終わって鳥取に帰ってきて、みんなでファミレスに行ったら全然知らん人に『見てました。すごかったですね』って声をかけられて。インスタのDMにもめっちゃコメントが来るんですけど、『自分も小さいからアタッカーは諦めようと思っていたけれど、星原選手を見てまた頑張ろうと思った』と言われるのが一番嬉しいですね。僕もずっと、でっかいやつには絶対負けたくない、と思いながら頑張ってきたんで」
鳥取中央育英高校の星原優来は、そう言って顔を綻ばせた。
ADVERTISEMENT
決して全国優勝を成し遂げたわけではない。むしろ、2回戦で姿を消した。それでも、彼らに向けられる周囲の目は変わった。
なかでもキャプテンの星原は、幾多の激闘が繰り広げられた春高バレーの歴史の中でも、紛れもなく大きなインパクトを与えた一人だった。
まるで『ハイキュー!!』の実写版
身長169センチの小さな大エース。漫画『ハイキュー!!』の主人公・日向翔陽を彷彿とさせる抜群の跳躍力と爆発力。プレーはもちろん、肩にも届く長髪は目に留まりやすかった。「何度も切れと言ったのに切ってこなかった」と桑名圭司監督は苦笑いを浮かべるが、鳥取県勢として初の1勝を成し遂げるなど、新たな歴史を切り開く原動力となった星原の強烈な個性は、今後も語り継がれるだろう。
さらに漫画とリアルの世界を混同させる理由が、ここまでの道のりにある。“爽やかな主人公”は、実は部活謹慎を命じられるほどの“問題児”だった。
「僕は“クソ指導者”って言われていますからね。その時は『え、今、何て言った?』って聞き返しましたよ。バレーの指導よりも、生徒指導のほうが大変でした」(桑名監督)