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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「おかんのハンバーグが一番好き」高橋藍の母が涙ながらに明かした壮絶な子育て期「中学生になっても、新しい靴を買ってあげられなくて…」
posted2024/04/19 11:02
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Takahisa Hirano
一流アスリートの親はどう“天才”を育てたのか――NumberWeb特集『アスリート親子論』では、さまざまな競技で活躍するアスリートの原点に迫った記事を配信中。本稿では、バレーボール日本代表・高橋藍(22歳)の母・小百合さんのインタビューをお届けします。涙ながらに語った、知られざる苦労とは?〈全2回の後編〉
『七年後の東京オリンピックに出る』
息子が書いた卒業文集に、高橋藍の母・小百合さんは二度も驚かされた。
一度目は藍が小学校を卒業する時。
「わー、こんなすごいことを書いている」と素直に驚いた。
『ニッポンチャチャチャ』の書き出しから始まった文章は、『目をあけると、東京オリンピック、バレーボールの会場にいる。周りはすごく盛り上がっている』と続き、まるで実際の未来を映し出すように書かれている。
そして、二度目は2021年。テレビに映る東京五輪のコートに立つ息子の姿を見た時だ。
「私は自信がない子どもやったんです。だから、夢が叶うなんて考えたこともなかった。でも藍は卒業文集に書いた夢を本当に叶えた。直接会場で見ることはできませんでしたけど、ほんまにオリンピックに出たんや、と思うと衝撃でした」
「藍をやっと見つけてくれた」
夢が現実に近づくきっかけは、2020年1月の春高だ。東山高は失セットゼロという圧倒的な強さで初優勝を遂げている。その立役者となった藍は、攻守両面、特に守備力を高く評価され、翌2月に発表された日本代表登録選手27名に名を連ねた。U18やU20などアンダーカテゴリー日本代表すら経験したことがない18歳の大抜擢だった。
突如、巡って来たチャンスに藍は胸躍らせ、小百合さんも喜んだ。
「どこまでできるか未知の世界やったんですけど、今までチャンスがなかっただけで、私は『できる』って信じていたんです。今までは誰も見つけてくれへんかったけど、やっと見つけてくれた。絶対に藍ならできる、と思っていました」