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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「1年間ずっと苦しかった…」今永昇太カブス残留で迎える2026年は正念場〈侍ジャパン〉WBCで担う特別な役割と復活のカギを握る“2.5cmの狂い”
text by

山田結軌Yuki Yamada
photograph byNaoya Sanuki
posted2025/12/28 11:04
前回大会、アメリカとの決勝戦で先発したのは今永だった
MLB平均値の15~16インチ(38~41cm)と比較し、15cm分のホップ成分があった。好感触を得たはずだったが、シーズン平均では18.0インチ(45.7cm)で昨季の平均18.3インチ(46.5cm)を下回った。東京ドームの構造上、気圧の影響はあるものの、あの時の軌道はまさに今永が目指すものだった。
開幕戦での最高球速は93.8マイル(約151km)をマーク。試合後の会見では「きょうの直球に関しては、ものすごく自分の中で手応えがありました。これくらいの真っすぐを最低ラインとして保っていれば、いつでも自信もって投げられるということは勉強になった」と手応えを口にしている。
広いアメリカでは、土地によって気候が違う。今永もそれは理解しているからこそ「アメリカの環境は湿気があったり、乾燥していたり、球が飛んだり、いろんな環境がありますけど、いつでもきょうのような最低ラインの真っすぐは投げたいと思います」と付け加えた。
「立ち向かっていこうと思います」
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しかし、開幕当初に掴みかけたコツを完全に習得できなかった反省がある。技術的、体力的に改善すれば、あのストレートを取り戻し、自分のものにすることができるかもしれない。それは、2026年の今永を支え、WBC連覇に貢献できる大きな武器になる。
「シーズン終盤、苦しい経験をしたんですけど、自分はプレーヤーとしてはもちろん良くなかった、ダメだった。だけど、自分の人間性とか人格までダメになったわけではない。もう一度いいプレーヤーになるため、苦しい時、誰かに見られていますし、ここで何をするかというのが、人間として大事。逃げるのは簡単なので、立ち向かっていこうと思います」
このメンタリティこそ「投げる哲学者」の真髄だ。2026年オフには、フリーエージェントになるため己の価値を証明しなければメジャーで生き残るための契約は取れない。目指すWBC連覇、そしてカブスの地区優勝のために左腕を振るつもりだ。〈前編も公開中です〉


