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「正直、通用しなくなってきている」カブス・今永昇太が直面したメジャー2年目の“異変”「別人にならなければ…」シーズン終了後真っ先に向かった場所
posted2025/12/28 11:03
1年契約でカブスに残留した今永の収穫と課題とは…
text by

山田結軌Yuki Yamada
photograph by
Getty Images
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湧き上がる悔しさが、その行き先を変更させた。シーズン終了とともに、今永昇太が搭乗したフライトは、シカゴ発フロリダ行き。帰国するはずの日本とはまるで逆方向に向かった。目的はフロリダにある「クレッシー・スポーツ・パフォーマンス」という施設に向かうためだ。
「通用しなくなってきている」
10月11日、所属するカブスはブルワーズに2勝3敗で地区シリーズ敗退を喫した。試合後の今永のコメントには覚悟が滲んでいた。
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「正直言って、通用しなくなってきている。それは紛れもない事実。これは体感ではなく、数字を見た事実。別人にならなければ、この世界で生き抜くには苦しいかもしれない」
今永に危機感が襲っていた。メジャーで生き残るために、さらなるレベルアップは絶対的な条件だと、言葉に力を込めた。
このオフシーズンはあるテーマを掲げて取り組んでいる。
「なぜストレート(直球)の球速が落ちたのか、そしてボールの質が落ちたのか」
今永はメジャーで決してパワーピッチャーではない。それなのに、90マイル(145km)前後の直球にメジャーリーガーのバットは空を切り、ファウルを打たされる。ストライクゾーンの真ん中付近へ投じられる甘めのコースでも、同じことが起こる。なぜか。いわゆる「スピンの効いた伸びのある直球」を低いリリースポイントから投じることができるからだ。打者は、浮き上がってくるようなボールに錯覚する。それが、今永の特徴だ。
“急降下”はなぜ起こったのか?
ちなみにメジャー1年目の2024年、今永の直球の平均球速91.7マイル(147.6km)は、メジャーリーガーの下位15%に位置していた。あえていうなら、今永の直球は遅い。それでも独特の球質があるからこそ、2024年は15勝3敗、防御率2.91の好成績を挙げ、サイ・ヤング賞投票で5位の得票を得た。

