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「歴史的采配ミスと言われたかも…」森保一監督が語る“なぜ望月ヘンリー海輝を起用したか”…ブラジル戦勝利の真相「コーチから“別の提案”もあった」
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木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byAsami Enomoto
posted2025/12/30 11:12
NumberWebのインタビューに応じた森保一監督(57歳)
W杯で本命として優勝を狙うと考えたときに、絶対にベースづくりが必要。親善試合でなんとなく勝って、本質が見えていないまま本番を迎えても、W杯で勝ち上がっていけません。
親善試合の結果を受けての批判? まったく気になりません(笑)。見えている人が発信してくださればいいかなと」
親善試合になんとなく勝っても、本質的な強さにつながらない――ブラジル相手でも、森保の哲学は一切ブレないのだ。
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何ができて、何ができないかを明らかにするために親善試合がある。課題から目を背けたら、W杯で勝ち上がれるわけがない。
「生き残る確率が下がる」W杯へのサバイバル
では、望月の起用は未来への投資の意味合いが強かったのだろうか?
森保はストレートにこう言い切った。
「完全に『試す』ですね。彼から大きなポテンシャルを感じていますが、本当にW杯の舞台で力を発揮できるのか。(現在のチーム編成上)このポジションに関しては、攻撃的選手ではなく守備的な選手が欲しい。守備をしっかりできて、サイドバックもウイングバックもできる選手です。それをヘンリーに期待していて、本人にも直接話しています」
「育てる」と「テストする(試す)」も二項対立で語られがちなテーマだ。だが、森保は親善試合で勝利とプロセスを同時に追い求めている。そのバランス感覚で物事に白黒つけず、常にどちらへも進めるようにしている。
W杯への道のりで育成に取り組むのと同時に、厳しいテストもしているのだろう。
選考に関して、森保は線を引く覚悟がある。
「(もしテストで)パフォーマンスを発揮できなかった場合、厳しい言い方をすれば、生き残る確率が下がるということです。求める基準には足りてないと判断して」
「歴史的采配ミスと言われたんだろうな」
ブラジル戦において、アディショナルタイムの表示は6分だった。
望月が後半40分にピッチに入ると、約11分間のサバイバルが始まった。


