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「プロは結果がすべて。でも…」広岡達朗の“正義感”とは?「野村克也に嫉妬するわけないだろう」呼ばれなかった“ヤクルト球団50周年記念イベント”

posted2025/12/05 11:26

 
「プロは結果がすべて。でも…」広岡達朗の“正義感”とは?「野村克也に嫉妬するわけないだろう」呼ばれなかった“ヤクルト球団50周年記念イベント”<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

2019年7月11日、神宮球場で行われた「SWALLOWS DREAM GAME」で打席に立つ野村克也

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長谷川晶一

長谷川晶一Shoichi Hasegawa

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Sankei Shimbun

1978年、ヤクルトスワローズが叶えた奇跡の日本一。“冷徹な監督”は優勝未経験の弱小球団をどう変えたのか。数年にわたる取材で名将・広岡達朗の過去と現在に迫った書籍『正しすぎた人 広岡達朗がスワローズで見た夢』が発売される。93歳になった今も舌鋒鋭い評論活動を行う広岡達朗が、球史に残る名将・野村克也を認めなかった理由とは? 広岡による「野村批判」を同書籍のなかから紹介する。(全2回の2回目/前編へ)

野村克也に本音「私はまったく認めていない」

 広岡にとって、野村克也はどんな存在なのか?

 時折、彼が口にする「野村批判」を受けて、そんな質問をしたことがある。その答えは簡潔だ。

「私はまったく認めていない」

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 現役時代、監督時代を比較すると、いずれも広岡よりも野村の方が数字では勝っている。その点を指摘すると、さらに口調が強くなる。

「プロは結果がすべての世界だよ。そんなことは私もよくわかっている。しかし、だからと言って、何をやってもいいというわけではない。正しいことを、正しい方法で取り組まなければいけない。正しくないことをやって手にした結果をほしいとは私は思わない」

 広岡が口にした「正しくないこと」とは、前述したようにサイン盗みなどのスパイ行為を指しているのは明白だった。しかし、その証拠はない。さらに、それだけで27年間もキャッチャーとして、現役通算2901本ものヒットを打つことなどできないはずだ。もちろん、監督としても南海ホークスで1回、スワローズで4回もリーグ制覇を果たし、そのうち3度は日本一に導くことなどできないだろう。

 生前の野村にインタビューをし、その考え方に魅力を覚えていた私にとって、広岡の発言は素直に首肯できるものではなかった。野村が標榜した「ID(データ重視)野球」は、野球界に革命をもたらした「正しいこと」であり、「正しい方法」ではないのか?

広岡達朗の“愚直な正義感”

 監督通算勝利数は、広岡が通算で2球団8年、514勝に対して、野村は阪神タイガース、東北楽天ゴールデンイーグルスも含めた4球団24年、1566勝となっている。記録だけ見れば、野村が広岡を圧倒している。決して広岡を貶めるつもり、軽んじるつもりはないけれど、この点を指摘しても広岡の考えは揺るがない。

「プロは結果がすべての世界だよ。私よりも野村の方が勝利数も多いし、優勝回数も多い。けれども、私は私の野球観に基づいて正しいことを、正しい方法で取り組んだ結果、ヤクルトでも、西武でも日本一に輝いた。何も引け目を感じることはないはずだよ」

【次ページ】 「野村に嫉妬するはずがあるわけないだろう」

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#広岡達朗
#野村克也
#東京ヤクルトスワローズ

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