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名将・広岡達朗の“野村克也批判”「データ野球なんて嘘だよ」いったいなぜ? 酷評のウラに“ある疑念”「そんな優勝に価値があると思うかい?」

posted2025/12/05 11:25

 
名将・広岡達朗の“野村克也批判”「データ野球なんて嘘だよ」いったいなぜ? 酷評のウラに“ある疑念”「そんな優勝に価値があると思うかい?」<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

野村克也を「まったく認めていない」と語った広岡達朗。両者ともヤクルトを日本一に導いた名将だ

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長谷川晶一

長谷川晶一Shoichi Hasegawa

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Sankei Shimbun

1978年、ヤクルトスワローズが叶えた奇跡の日本一。“冷徹な監督”は優勝未経験の弱小球団をどう変えたのか。数年にわたる取材で名将・広岡達朗の過去と現在に迫った書籍『正しすぎた人 広岡達朗がスワローズで見た夢』が発売される。93歳になった今も舌鋒鋭い評論活動を行う広岡達朗が、球史に残る名将・野村克也を認めなかった理由とは? 広岡による「野村批判」を同書籍のなかから紹介する。(全2回の1回目/後編へ)

「データ野球なんて嘘」「野球にマジックなどない」

 広岡の話を聞いていると、指揮官として彼が尊敬しているのは水原茂、川上哲治と西本幸雄であり、その一方で三原脩、そして野村克也については徹底的に否定していることがすぐに理解できる。評価の根拠は明白だ。

「水原さん、川上さん、西本さんは厳しさを持って、自分の信念を持って規律あるチームを作り上げた。でも、三原さんはどうだ? インチキばっかり。バックスクリーンから双眼鏡でサインを覗くスパイ行為ばかりしていた。盗聴器まで仕掛けていたという。それで本当に《名将》と言えると思うかい? 野村もそう。《データ野球》なんて嘘だよ。サイン盗みをする名将がいると思うかい?」

 何度もそう問われた。そして決まって、広岡は言った。

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「《三原マジック》という言葉があるだろう? 野球にマジックなどあるはずがない。マジックで勝てるのなら苦労はしない」

――あなたは盗聴器をはじめとするスパイ行為の証拠を見たのですか?

 何度も、そう尋ねた。答えはいつも同じだった。

「直接は見ていない。けれども、○○や△△から、その方法を詳細に聞いた。彼らもまた三原さんから、スパイ行為のやり方を学んでいたという。コミッショナーの耳にも届いていたはずだ。どうして、誰も取り締まらなかったのか?」

――自ら取り締まろうとは思わなかったのですか?

「私は現役選手だよ。そんな権限はないし、そういう不正と戦って自分たちの強さを証明することを考えていた」

――現役引退後の評論家時代、あるいはコーチ、監督時代には?

「同じだよ。そういう連中に負けずに、自分の信じた正しいやり方で結果を残す。それだけを考えていたから」

【次ページ】 「そんな優勝に価値があると思うかい?」

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