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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「このゲームはまだ死んでいない!」南野拓実こそ“最重要”だ…森保体制で最多出場・最多得点の男が頼れる理由「日本人の強みを発揮してくれる」
posted2025/11/27 17:01
ブラジル戦で追撃のゴールを決めてチームを鼓舞する南野。森保ジャパンで最多出場、最多ゴールのこの男の重要性を改めて検証した
text by

佐藤景Kei Sato
photograph by
Kiichi Matsumoto
南野の状況が変わるきっかけは、ザルツブルク時代の指揮官、アディ・ヒュッターがモナコの監督に就任したことだった。迎えた新シーズンはトップ下でプレーするケースが増え、トップフォームを取り戻すことに成功する。開幕からゴールとアシストを重ねると、8月のリーグ月間MVPに選出された。そして2023年10月、ついにカタール大会以来、10カ月ぶりに代表復帰を果たすことになった。
「代表がヨーロッパで良い結果を残すのを見ていました。自分が選ばれるにはクラブで結果を残すことしかない、それが次につながると考えていたので、気持ちが動揺することはなかったですけど、悔しい気持ちはありました。ただ、選ばれてここに来た。今は代表のためにしっかりプレーするだけです」
成長するチームにようやく加わって
南野の代表復帰直前の9月に日本はアウェーでドイツを破り(4−1)、トルコにも勝ちきった(場所は中立地のベルギー・ヘンク/4−2)。右肩上がりに成長するチームを外から見つめていた南野が、ようやくその輪に加わる機会を得たわけだ。「代表のために」という言葉は、再び日の丸を背負う機会を得た南野の偽らざる本音だった。そのことは、その後のプレーと振る舞いが物語っている。
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当時の日本は4−2−3−1と4−3−3が基本フォーメーションで、南野は10月のカナダ戦では4−3−3の右インサイドハーフとして先発。途中から4−2−3−1のトップ下でプレーしたが、続くチュニジア戦は交代出場。翌月も初戦のミャンマー戦で同じようにインサイドハーフとして先発し、途中でトップ下にポジションを変え、続くシリア戦はベンチスタートだった。
そこには多くの選手を試すという森保監督の狙いもあったはずだが、起用法を見る限り、南野はトップ下の一番手という扱いではなかった。その役目を担っていたのは久保建英。一方でカタール大会までプレーするケースの多かった左サイドにも、すでに絶対的な存在として三笘薫がいた。待っていたのは、熾烈なポジション争いだった。

