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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
森保ジャパン「ケガ人続出の2025年…じつは新戦力が充実」“積み上げ”を徹底検証「あの選手をシャドーに…」W杯でカギを握る“意外な起用法”とは?
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戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAsami Enomoto
posted2025/11/25 17:00
3連勝で2025年を締めくくったサッカー日本代表。森保一監督はW杯本大会に向けてどんなチームを思い描いているのか
伊東純也をシャドーに…起用法から見る森保監督の狙い
森保監督は新戦力をテストするだけでなく、既存戦力を本来とは違うポジションで起用することにもトライした。
これについては、システムとも関連している。23年を起点とする森保ジャパン2度目のW杯への道のりで、指揮官は4-2-3-1から4-1-4-1、3-4-2-1へとシステムを変化させてきた。W杯優勝という目標を掲げ、「より主体的な」サッカーを展開していくために、戦術的なオプションを増やしていった。
そうしたなかで、これまでとは異なるタスクを託される選手が出てきた。分かりやすい例が、堂安律だろう。
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4バックでは2列目、3バックでは2シャドーの一角で起用されることが多かったが、現在は3バックの右ウイングバックが主戦場となっている。守備のタスクがより高まる立ち位置に彼を置くことで、シャドーの久保建英との2枚で右サイドを構成できるようになった。対世界でも「主体的な」サッカーを展開するためのアプローチと言っていい。
10月のブラジル戦では、伊東純也を右シャドーに置いた。久保を下げて伊東を送り込む交代では、伊東が右ウイングバックに入り、堂安を右シャドーへ上げるのがそれまでのパターンだった。それぞれの特徴に見合った起用法でもある。
だが、既定路線の選手交代が、対世界でどこまで有効なオプションとなるか。相手にとって想定内の交代は、突き詰めれば「個」のクオリティの勝負となる。W杯でベスト8以上に食い込んでくる国のDFは、一人ひとりのキャパシティが大きい。定型の交代では相手も予測が立てやすく、「個」のバトルで優位に立つのは簡単ではない。
伊東のシャドー起用は、我々にとっても意外性があった。対戦相手はなおさらだろう。W杯で対戦する国々は、シャドーとウイングバックのどちらの伊東にも対応できる準備を迫られる。自分たちがオプションを増やすことは、相手のスカウティングを複雑化させる効果もあるのだ。
左ウイングバックの中村敬斗も、左シャドーで起用されている。この25歳はシュートの技術が高く、ボリビア戦ではゴール前の密集からネットを揺らしてみせた。このポジションのファーストチョイスである南野拓実とはまた違う種類のストレスを、相手守備陣に与えることができる。

