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大学部活は門前払い→一般企業に就職でも…高校で全国制覇の女子ラグビー選手が“業界初のプロ宣言”をしたワケは?「今しかできないことに全力を…と」
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大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph by(L)Shigeki Yamamoto、(R)Nobuhiko Otomo
posted2025/11/23 11:01
慶大時代は大学の部活に入れず、クラブチームでの活動を続けた青木蘭さん。卒業後はケガもあり競技から離れることも考えたが、一転「プロ宣言」をすることに
プロ宣言→SNSを使った「スポンサー探し」も…
――そこから自分でスポンサー探しの営業活動も始めたわけですね。
青木 インスタグラムやフェイスブック、ツイッターを見て、スポーツに関心のありそうな方126人に売り込みのメッセージを送りました。うち35人からリアクションをいただいて、プレゼンまで進みました。
ただ、マイナースポーツの女子ラグビー選手が企業の広告塔役を担うのは現実的ではありません。私は、女子ラグビーという競技をサポートしていただく意味、その選手である私はどんな価値を提供できるのかを訴えたところ、話を真剣に聞いてくれた6社からサポート契約をいただくことができました。ジムのアンバサダー、栄養・ケアのサポートなど事業のPRをしてサービスを受けるサプライヤー契約もいただいたし、古巣の横河電機とはライター契約を結び、退職後もお仕事をいただいています。
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――プロ宣言をした4カ月後の2022年1月には、第8回全国女子ラグビーフットボール選手権大会でアルテミ・スターズは日本経済大学・九州産業大学・ながとブルーエンジェルスの合同チームを28-0で破って、2年ぶり2度目、単独では初めての優勝。蘭さんは司令塔のSOで80分フル出場で優勝に導きました。
青木 この試合はもともとは準決勝だったのですが、もう片方の準決勝を戦う予定だった2チームにコロナ感染者、濃厚接触者が見つかってしまって辞退となり、試合前日になって急遽、優勝決定戦になったんです。チームにとっては急に決勝、そしてシーズンのラストゲームになったわけで、戸惑いもありましたが、私は司令塔として落ち着いてみんなに声をかけてリードして、結果としてチームは優勝できた。プロ宣言をした最初のシーズンに結果を出せたことは嬉しかったです。
2023年には国体開催を控えた鹿児島県の代表チームと選手兼コーチとして契約を結びました。鹿児島県には大人の女子ラグビーチームがなくて、地元出身の優秀な選手たちは県外でプレーしていた。戦力強化が課題になっていたところで、選手兼指導員としてお声がけいただいたんです。
私は鹿児島へ通って、強化指導員として若手選手たちと一緒に練習をしながら技術的な指導もさせてもらいました。国体本番ではプール戦1勝2敗で敗退しましたが、太陽生命シリーズのコアチームで戦っていた四国大学を中心とした徳島を28-5で破り、流通経済大を中心とした茨城県には7-12と肉薄することができました。
――競技人口の少ない県の混成チームとしては異例と言っていい好成績ですね。その時点で、2025年の15人制ワールドカップまでは残り2年。日本代表入りを目指す思いはいかがでしたか。
青木 正直、日本代表のことは頭にありませんでした。膝の怪我から復帰したあとも頸椎捻挫をしたり、鹿児島国体でも味方選手と頭をぶつけて7針縫ったりとケガも続いた。いったん体を休めることにしたけれど、選手生命もそう長くないだろう、好きなラグビーを突き詰めることはできたし、もうそろそろ引退してもいいかな……そんな気持ちに傾いていた矢先に、妊娠が分かったんです。
<次回へつづく>

