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「“島根のビリギャル”と呼ばれて(笑)」3歳からラグビー→全国制覇も経験の女子選手が“ある名門大”進学で受けた衝撃「マネージャーとしてなら…と」
posted2025/11/23 11:00
3歳からラグビーをはじめ、高校時代はU18日本代表候補にもなった青木蘭さん。現在は29歳になった
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大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph by
(L)Shigeki Yamamoto、(R)Nobuhiko Otomo
9月末までイングランドで開かれていたラグビーの女子ワールドカップが、イングランドの優勝で幕を閉じた。
イングランドとカナダの決勝は、ロンドン郊外のトゥイッケナム競技場に8万1885人の観衆を集めた。同じ会場で開かれた男子の2015年ワールドカップ決勝(ニュージーランド対オーストラリア)の8万125人、フランスのサンドニで開かれた2023年ワールドカップ決勝(南アフリカ対ニュージーランド)の8万65人を超える大観衆だった。
かつては「男のスポーツ」と呼ばれたラグビーだが、この数字に表れているように近年は女子のラグビーが急激に伸長している。それは日本でも同じだ。
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女子7人制ラグビーのワールドシリーズでは日本女子が昨季、最高成績4位、年間獲得ポイントで5位(最終順位を決めるグランドファイナルは7位)という好成績を収めた。15人制の世界ランキングでも日本は男子の13位に対して女子が11位(2025年11月17日現在)と上回っている。
競技人口や観客数、露出度にはまだ男子と大差があるものの、日本女子ラグビーの実力や技術レベル、世界からの評価の伸長ぶりには目覚ましいものがある。
結婚・出産を経て…ある女子ラグビー選手の復帰劇
2025年秋、そんな女子ラグビーの世界に、一人の女性が出産を経て舞い戻ろうとしている。
青木蘭。神奈川県茅ヶ崎市出身、この秋29歳になった。3歳でラグビースクールに通い始めたとき、女子は1人だけだった。周りはすべて男子と言う環境で楕円のボールを追い始めた。
小学校高学年から中学校になると、男子は急速に背が伸び、力が強くなる。自身は「いつ辞めるの?」、両親は「いつ辞めさせるの?」と聞かれ続けた。
だが中1だった2009年の夏、2016年のリオデジャネイロ大会からオリンピックの正式種目に男女7人制ラグビーの採用が決まった。
国内ではにわかに、女子のラグビー選手を発掘しよう、育成しようという機運が高まった。青木蘭は高校進学にあたり、全国に先駆けて女子ラグビー部を設立した島根県の石見智翠館へ進み、主力選手として2度の全国優勝を経験。U18日本代表候補にも選ばれ「オリンピアンの有力候補」「未来のメダリスト」という肩書でテレビなどのメディアにも頻繁に登場した。
だが、オリンピック出場という夢はなかなかかなわなかった。

