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「ママになってもラグビーをしたい」27歳で出産→競技復帰へ…女子ラグビー元代表候補・青木蘭が語る“育児のリアル”「一番ムカついた言葉は…」
posted2025/11/23 11:02
高校時代に全国制覇を達成するなど多くの実績を残してきた女子ラグビーの青木蘭。1児の母となった今、再びグラウンドへ戻ることを決めた
text by

大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph by
Shigeki Yamamoto
神奈川県に生まれ、3歳でラグビーを始めた青木蘭。「女の子がラグビーなんて」と奇異の目で見られながらもラグビーに打ち込み、中1のときに男女7人制ラグビーの五輪種目採用が決定すると、活躍の場が一気に拡大。全国に先駆けて女子ラグビー部を設立した島根県の石見智翠館高に進学して高2、高3で全国制覇。
慶大へと進学し、日本ラグビーのルーツ校でもある名門で女子ラグビー部の立ち上げを目指したが、なかなか軌道に乗らなかった。現役でプレーを続けながら新人勧誘、高校生への受験指導、顧問の依頼等々激務をこなしながら卒業し、一般企業へと就職。プレーを断念しかけた時期もあったが、移籍、結婚、プロ宣言……紆余曲折を経て、改めて「日本代表を目指す」と決意した矢先に妊娠が分かった。
2024年9月、青木蘭は27歳で長女を出産。そしてそのとき『もう一回、ラグビーを本気でやろう』と決意したという。
娘が生まれた瞬間…「もう一回、ラグビーをやろう」!?
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――長女を出産したときの気持ちを聞かせてください。
青木 分娩台で、娘を出産した瞬間に「もう一回、本気でラグビーをやりたい!」と思ったんです。頭の中に絵が浮かんできた。夫が娘を抱っこしながら、ピッチでプレーしている私に向かって手を振っている。そのイメージがどんどん膨らんできました。
もともと「ママになってもラグビーをしたい」ということは独身の頃から思っていたことなんです。高3のときに留学したニュージーランドではラグビーをしているママ選手がいて、試合が終わると子供たちが駆け寄って抱きついて、一緒に笑顔で写真を撮っている。日本では見たことのない光景だったし、しかもニュージーランドは世界最強の国。すごくかっこいいなと思ったし、ママになってもラグビーを愛し続ける女性たちを見て、「私もいつかこうなりたい」と思ったんです。
――自分の子供に、プレーする姿を見せたいという気持ちでしょうか。
青木 私自身、ラグビーというスポーツに育ててもらったし、ラグビーを続けてきたことに誇りを持っていました。自分自身が誇りに思うことに打ち込んでいる姿を、娘に見せたい。娘にも誇りに思ってもらえたら嬉しいな、という思いがありました。
そもそも、ラグビーだけでなくスポーツ人口が減っていることは、スポーツに育ててもらった私にとっては悲しいことだったし、スポーツの素晴らしさを次の世代に伝えていきたいという思いはずっと持っていました。そして、子供がスポーツをするかどうかはお母さんの判断が大きく影響する。だから、結婚・出産を経てもプレーを続ける姿を同じ女性たち、母親たちに見せたい、女の子たちに見せたいと思っていたんです。そのイメージが、実際に出産した時に、はっきりとした絵として私の頭の中に浮かんできたんです。

