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「マジメな選手ほどケガをするんじゃないか」堀江翔太38歳が立てた仮説とは…? まだまだできるのに“サプライズ引退”をかましたワケ
posted2024/03/29 11:08
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Kiichi Matsumoto
2023年12月6日、堀江翔太(38歳)はリーグワンの新シーズン開幕を前に現役引退を表明した。ラグビーW杯4度の出場、日本代表キャップ「76」を誇るフッカーはラストゲームをどう迎えるのか。複数回にわたってお届けする短期連載の第1回は、引退後のビジョンとその経緯を明かした。
周囲を驚かせた開幕前の引退発表
「いい感じで、サプライズをかませられて良かったです」
堀江翔太。38歳の現役フッカーが悪戯っぽく笑う。
埼玉パナソニックワイルドナイツでプレーしてきた堀江が、今季限りでの引退を発表した。
てっきり、40歳まで現役を続けるのだと思っていた。昨秋に行われたワールドカップ(W杯)でも堀江の存在感は際立っていた。
特にイングランド戦では、スクラムで堀江が要になっていることが分かった。相手プッシュに動じない日本のスクラム。イングランドのゲームプランに楔を打ち込んだFWの働きは見事だった。堀江は言う。
「スクラムコーチの(長谷川)慎さんが言うてることが理解できてたと思うんで。慎さんのスクラムではフロントローは押す必要はなくて、後ろからの押しを伝えるだけでいいんです。ただ、そこにいくつかポイントがあります。この話、長くなるんで、それはまた別の機会に話しましょう(笑)」
W杯の最終戦となったアルゼンチン戦の後のミックスゾーンでも、
「次(のW杯)は41歳? 今のコンディションやったらできるんちゃいますか」
と飄々と話していたこともあり、引退の発表は寝耳に水だった。しかし当の本人は、だいぶ前から決めていたことだったと話す。
「具体的に何月何日というのは覚えてませんけど、W杯の前には決めてました。というより、だいぶ前だったように記憶してます」
決断のタイミングは2022年の暮れから、2023年の前半にかけてのことだったらしい。