「巨人史上No.1投手」は何者か？ 門限破りの常習犯、ドラフト1位で“プロ野球13連勝”の童顔18歳…大谷翔平のポストシーズン“伝説の1日”を超える天才 

「巨人史上No.1」を生で見た証言

　コントロールに不安はあったが、鞭のようにしなるフォームからホップする快速球と、浮き上がってから急ブレーキがかかり、そこから大きく曲がり落ちる独特のカーブを持っていた堀内は、オープン戦が始まる頃には一軍に引き上げられた。

　一軍で初めて堀内を見た川上哲治監督は、「ピッチングばかりじゃなく、守備もいいし、バッティングもいい。まったく野球をするために生まれてきたとしか思えない選手だった」と評している（同）。

　キャンプで初めて堀内の球を受けた当時の正捕手・森昌彦は、「堀内の球を『怖い』と思った。長い現役時代を通じて恐怖を抱かせるほどの球を投げたのは堀内だけだった」と述べている（『牙　江夏豊とその時代』後藤正治／講談社）

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　更に、あの野村克也も「野球センスの塊のような投手で、堀内のフィールディングの素晴らしさは捕手からの返球を受けとるグラブさばきを見ればわかった。高校でたてのころから、手のひらにボールを吸い寄せるように柔らかく捕球したのを覚えている」（『プロ野球 最強のエースは誰か？』彩図社）。

　これだけのメンバーに、一目見ただけでここまで高く評価される高卒新人は、そうはいないだろう。因みに、野村は上述の著書の中で、巨人の歴代投手の中の1位に堀内を選んでいる（2位別所毅彦、3位江川卓）。　

プロ1年目、1966年春の自主トレーニングで練習に励む堀内恒夫 ©JIJI PRESS

異名は「悪太郎」…異次元な球速

　1966年。高卒1年目の堀内は、開幕6戦目の対中日戦で先発デビュー。6回2失点で勝ち投手になると、そこから快進撃が始まった。3試合連続完封を含む44イニング連続無失点（新人投手としてのプロ野球記録）を記録し、開幕から7月27日の阪神戦まで、なんと開幕13連勝を飾ったのである。18歳の童顔のルーキーによる快刀乱麻の投球は、一大フィーバーを巻き起こし、そのふてぶてしい態度から「悪太郎」、「小天狗」などとも呼ばれた。

　シーズン後半は、登板過多からくる疲労などでペースダウンしたが、1年目にして16勝2敗、防御率1.39を記録し、最優秀防御率、最高勝率（セリーグ記録）、新人王、沢村賞を受賞するという華々しいスタートを切った。

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