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早稲田実業の新監督“あの人物”が有力候補も…本人「想像つかない」甲子園決勝メンバーも37歳に…「斎藤佑樹からホームラン」駒大苫小牧ナインは今
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柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph byMasaki Fujioka
posted2025/10/01 11:02
2006年、夏の甲子園決勝カードが19年ぶりに実現。37歳になった早稲田実業メンバーたち
「ホームランはたまたま。打った球種もわからないぐらい野球をやっていないです。今ははらっぱスタジアムから近い千歳市の建築会社で働いています。現場を管理する仕事ですね。駒大苫小牧の選手は、就職先はバラバラ。自衛隊がいたり、捕手は農協だったり」
駒大苫小牧ナインの多くは、2014年にメジャーに渡り、2021年の帰国後は東北楽天、巨人と移籍してきた田中とは10年近く会えていない。高校を卒業し、社会に出れば誰もが高校時代の仲間とは疎遠になっていく。それは甲子園決勝を共有した仲間であっても同じなのだ。
「なかなかタイミングが合わなくて。次は全員集まってリベンジしたいです」(三木)
「最初は仕事先で…すごく嫌だった」
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駒大苫小牧チームの捕手・小林秀はスラッとしたスタイルをキープし、顔立ちも19年前と変わらず童顔だ。
「農協に勤めているのが自分です。あの決勝のことは、思い出というか、夢のようですね。最初は仕事先で、駒大苫小牧のメンバーだと言われるのがすごく嫌だったんです。あまりにも僕らのことは知られ過ぎていたので。だけど、初めて会った取引先の方と会話が弾むという点では助かっていますし、仕事上でもうまくいくことのほうが多いように思います」
駒大苫小牧時代に中軸を任され、高校日本代表にも選出された一塁手・中澤竜也も三木同様、19年前とこの日の試合、いずれも斎藤から本塁打を放った。「早稲田のメンバーと比べれば偏差値低いんで、就職先に差が出ますよね」と笑う中澤は、國學院大學まで野球を続け、同大に職員として残ったあと、現在は金融コンサルの仕事に従事しているという。
「一時期、会社を立ち上げて不動産業界にいたんです。ただ、お客さんから利益を徴収している率が高くて、こういう仕事内容で家族を食べさせたくないなと思って金融系に移りました」
19年ぶりとなる早稲田実業対駒大苫小牧には、欠いてはならない主役が不在だった。無論、駒大苫小牧のエースだった田中将大(巨人)だ。
〈つづく〉


