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「山、貸してもらえないかな」王貞治の広がる夢…ジュニアからプロまで“野球の聖地”作りへ「大谷翔平君の活躍で野球人気が戻った今がチャンス」
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喜瀬雅則Masanori Kise
photograph byJIJI PRESS
posted2025/09/16 11:04
今年の世界少年野球大会の記者会見にて。王には次世代への野球の普及のための大きな夢があるという。そのカギとなる「山」とは……?
「ここで言ったようなことを、プロの人たちは余分なことを言うな、って怒るかもしれないよね。だから、プロのチーム数を増やすというのは、あくまで僕個人の考えで、それは今でも思っていますよ。球心会はそうなると、プロの方を何か侵すようなことになってもいけないし、アマチュアの方も侵す、ということは絶対にしちゃいけないんです」
その順序も、やり方も、決して間違ってはいけないと、王は力説した。
王に共鳴する野球人
そうした王の意向を、バックアップしようという動きも出始めている。
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秋田・大仙市で行われた「世界少年野球大会」の会場に、近鉄時代の1994年にはパ・リーグの打点王にも輝き、移籍した巨人でも活躍した元プロ野球選手・石井浩郎がやって来たのは、8月3日の午前中のことだった。
秋田選挙区選出で、自民党所属の参議院議員として3期目を迎える石井は、超党派で「野球議連」を今秋にも発足させる方向で動いていると語り「いろいろと連携して、動けるんじゃないかと思っているんです」。そこで今回、王のもとへも挨拶に訪れたというわけだ。
未来の野球界の、さらなる発展のために——。
広がってゆく王の夢
31回目を迎えた「世界少年野球大会」、新たに立ちあげた「球心会」、そして“山の中の球場構想”も、だから、王の思いの同一線上にある。
「大谷(翔平)君があんなにメジャーで活躍してね、日本の野球人気がまた戻って来たわけじゃないですか。だから今、僕はチャンスだと思うんです。アマチュアの皆さんも、プロの皆さんも考えていると思うけど、そこまでの一歩を突き進んで考えているというところまで行っていなかった。そこを我々(球心会)が手を挙げて、皆さんに賛同を得たんで、今、こういう風に活動を始めたんですね」
というわけで、まずは“山探し”からだ。勝手ながら、名前もつけてみた。
『王貞治・ベースボールビレッジ』——。
そのうち、必ず、きっと出来そうだ。王の夢は、まだまだ膨らむばかりだ。
〈全3回の3回目/はじめから読む〉

