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「長嶋茂雄さんの志も受け継いで」王貞治が設立した“球心会”とは何なのか「野球界がプロ・アマ大同団結するために、僕が『広報部長』になる」
posted2025/09/16 11:03
王貞治が設立した「球心会」の趣旨とは? 今も衰えない情熱のままに語り尽くした
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喜瀬雅則Masanori Kise
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Masanori Kise
昭和のプロ野球界は、まさしく『ON』が牽引してきたといっても過言ではない。
1965年(昭和40年)からの巨人V9。昭和時代の高度経済成長の真っただ中、右肩上がりの日本経済とダブるかのごとく、昭和の“強さの象徴”でもあったのが常勝・巨人軍であり、その中心には王貞治と長嶋茂雄という、プロ野球界を代表する2大スターの存在があった。
長嶋茂雄からの手紙
長嶋茂雄が89歳でこの世を去ったのは、2025年6月3日のことだった。
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一時代の終焉を告げた、その23日後となる6月26日。王は、生前の長嶋からもらったという手紙を携え「球心会」の設立会見に臨んでいた。
王さん、野球界の更なる発展を目指した「球心会」の結成、おめでとうございます。
アマチュア、プロの垣根を越え、王さん自らグラウンドに飛び出されると聞き、私にできることがあれば大いに協力したいと考えています。
野球界がひとつとなり、これから更に野球人気が高まることを期待しています。
令和7年5月吉日 長嶋茂雄
「ミスターなんか、そういった意味で、人脈もたくさんある。実際、ミスターがそういう風な『志』を、そういう思いを持っているんですよ」
野球界のために、今、やるべきことがある。
「球心会」とは
そこで王は、自らが発起人となり、プロ、アマが一体となり、野球界全体で野球振興に取り組むための“潤滑油”となるべく「球心会」を立ち上げた。2024年11月20日のプロ野球オーナー会議にも自ら足を運んで協力を呼びかけ、趣旨説明の会見を行っている。
「変わるのは、全部が変わらないといけないわけです。ある部分だけ変えたって、周りが変わらなきゃどうしようもない。今、僕らが『球心会』のことでやっているのは、とにかく日本も“縦の線”ばっかりじゃなく、これを野球界として意思の疎通、血の通ったものにしようよ、ということが、今度の『球心会』の提案なんです。
やっぱりね、どうしたって、人間ってセクショナリズムっていうのが出ちゃうしさ。その中で、下から上がってくる人たちにしたら、ヨソから何か言われたくないわけだよ。だけど、そんな小さいこと、ケツの穴の小さいことを言ってたらダメだよと。
まして今、サッカーだとかバスケットボールだとかの、他のスポーツは随分と後発だから、頑張っているじゃない? ずんずんずんずん、成長の度合いも速いよね。日本の野球界は昭和33年に12チームになってから、変わっていないんだから」

