「長嶋茂雄さんの志も受け継いで」王貞治が設立した“球心会”とは何なのか「野球界がプロ・アマ大同団結するために、僕が『広報部長』になる」 

時代の変化に追いついていくには

　プロ野球の歴史は、戦前から脈々と続いている。アマ野球、学生野球にいたっては、それこそ、明治時代にまでその起源が遡る。伝統という名の、古きよきものを継承していくのはもちろん大事だが、その一方で、野球界とはこうあるべき、というその固定観念に囚われ過ぎてしまうと、新陳代謝が進まず、時代の波に取り残されてしまう。

　少子化、スポーツの多様化。そうした時代背景も合わさって、今、野球人口の減少がささやかれている。この問題はいまや、避けようにも避けられない、時代の趨勢でもある。

「スポーツが多様化して、今、プロでも随分あるじゃないですか。我々の時代には全然なかったようなスポーツもあるし、それでいて少子化だからね。だから、どうしてもスポーツ人口が減っているのもしょうがないんだよ」

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　だからこそ、王が強調したのは、プロ・アマの“大同団結”だった。

2025年6月、球心会の設立会見での王。副代表には栗山英樹氏（左）が就任した　©JIJI PRESS

プロとアマで、いいものは共有していく

　プロ・アマの壁が、まだ厳然として存在している。過去の歴史には、選手獲得に際し、ブローカーのように動く人たちがいて、そこに金銭も動いていた事実もあった。それが、プロにもアマにも大きな悪影響を及ぼした歴史ゆえに、互いの活動に一線を引くことになったという“負の歴史”は決して、無視してはならない。

「これは長年、そういうのがあって、プロとアマ、学生をどう指導するのか、というのは今までもある。それは否定できないんですよ。やっぱり、高校野球ともなると、学校教育の一環とか、そういうこともあったりするから、プロ的な要素っていうのがある案って、なかなか持っていきにくいんだよね。でも、決して高校野球の精神を侵すようなことはしませんよ。ただ、お互いに情報共有して、いいものは取り入れましょうよと。

　だから、独立採算でやって下さい、既得権はどうぞ使ってくださいと。今までのことはほとんどそのままにした上で、情報共有をしていく。例えば、社会人野球でピッチクロックをやっている、来年は高校野球がDH制を入れる。そうなると他のところでも、プロ野球でも、アマチュアの彼らが熱心にやっているんだったら、こちらもいろいろなことをやらなきゃとか、前向きになってくると思うんですよ。

　今まではどちらかといえば、守りに入っていたというか、前に出ようとしなかったけど、全体的にもっと、何か方法がないかという風に考えれば、いろいろな案があると思うんだよね。だって、甲子園の高校野球でも、延長タイブレーク（2018年から導入）があったりして、もう、だいぶ定着しているもんね。だから、とにかくやってみることですよ。僕はやってみて、もしダメだったら止めるということを怖がっちゃいかんと思うんです。とにかくやるっていうことで、やればいいと思っているんで」

　そのために、王は動く。

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