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プロ野球PRESSBACK NUMBER
阿部監督の“懲罰交代”事件「懲罰は書きすぎだ」元巨人ピッチャーが疑問視…「阿部監督だけ、かわいそうだ」「日本ハム新庄監督も容赦ない」
text by

遠藤修哉Naoya Endo
photograph byJIJI PRESS
posted2025/08/28 17:03
巨人・阿部慎之助監督(46歳)。就任1年目でリーグ優勝、2年目の今季は2位につける
「二軍は“プロ野球選手ではない”」
阿部監督の厳しさは、二軍監督時代から知られていた。罰走を科すなど、その指導方法はときにスパルタ式と称されることもあった。しかし、武田氏はそれこそが育成において不可欠だと力説する。
「二軍では厳しくしないとダメです。なぜなら、二軍の選手はまだプロ野球選手ではないから。一軍に上がって、初めて本当のプロ野球選手になるわけ。だから、ちゃんとやらせて、教えなきゃいけない。教えてもらわないとできないレベルだからこそ二軍にいるわけでしょ?」
同じミスを繰り返す選手は、一軍でプレーする資格がない。そしてやがてこの世界を去っていく。
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「同じバントの失敗を何回も何回もしているようでは、戦力にはならない。だから、一軍の選手なら、できるのは当然のこと。できなければクビになる。プロ野球選手ではいられなくなる。オレは、そういう選手をたくさん見てきました。だから、阿部監督がこれまでやってきたことは、選手たちに改めて『プロとは何か』を教えているんです」
「一番短気なのは王貞治さんだった」
阿部監督の采配が世間で騒がれる中、武田氏が現役時代に経験した「懲罰」とは、どのようなものだったのだろうか。
「もちろん、エラーをしたら交代させられることはありましたよ。選手をぶん殴るのは星野仙一さんくらいでしたが、厳しい監督はたくさんいました。中でも一番短気なのは王貞治さん。ホークスが弱かったときに監督をやっていたということもあって、いつも怒っていましたね。当時のホークスはゆるい空気がただよっていたので、ミスをしたらすぐ交代させる光景をよく見ました」
一方で、武田氏が「本当の懲罰」として語るのは、プロの世界ではない、もっと前の話だ。
「オレが小学6年生の時、初めて新幹線に乗って調布リトルの試合で名古屋に行ったんです。1回表、2番で送りバントのサインが出たのに、キャッチャーフライを上げてしまった。めちゃめちゃ怒られて、残り3試合、監督の横でずっと立たされてましたからね。それこそ懲罰ですよ。オレはそれから新幹線が嫌いになって、いまだに大阪にいくときは飛行機で行っているぐらい(笑)」
武田氏が在籍していた頃の明治大学野球部も、厳しい「懲罰」では負けていない。「島岡御大」と武田氏が懐かしむ島岡吉郎監督(当時)は、フォアボールを出した投手やエラーした野手を寮から追い出していたという。

