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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
メジャー10勝目の菅野智之「トレード確実→オリオールズ残留をどう受け止めたか」35歳が初めて明かした胸の内と来季去就の“意外な第1希望”
text by

山田結軌Yuki Yamada
photograph byYuki Yamada
posted2025/08/15 11:10
オリオールズ残留でシーズン終盤を戦う心境を明かした菅野
菅野が初めて明かした「来年は…」
「打たれる、抑えるにしても今は納得できる状態なんです。僕は今、次こうしていこう、ってできるのが素晴らしいと思う。来年以降も間違いなく野球は続けるんでね、どこでやるか分からないけど。もうちょっとここでやりたいっていうのは100%の気持ちですよ」
決して長くない残りの野球人生。1年でも長くメジャーで投げたい。そして……。
「来年このチームは勝ちにいかないといけないわけですから。ベストはやっぱり来年もここで投げられること。それが一番、僕は嬉しいです」
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オリオールズへの残留希望を隠すことなく明かした。オフにフリーエージェントになる選手が、ここまで明確にチームとの契約延長を望む発言に面くらった。
「ここの部分、書いてもいいことですか?」。そう確認すると「もちろんです」と即答した。
35歳、求め続ける「閃き」
ベンチの中や、飛行機での移動中、自宅のリビングでも菅野はメジャー公式球を常に側に置く。思い立ったら、手に取り、新たな変化球の握りを探す。もともと日本のボールより大きく滑りやすいメジャー球に慣れるために始めた習慣だ。ボールへの違和感は消えた。今は、レベルアップのヒントを探している。
「ふとした閃きがあるんですよね。ベンチとかでもずっと握りながら、こうやって握ったら、どうやって曲げることができるかな、とか。時間とかそういう機会は平等に与えられているわけだから、その中でいかに気づいて、自分のものにできるか」
35歳は先発試合でベストを尽くし、マウンド外ではオリオールズの未来を担う若手をサポートする。レギュラーシーズンは残り約1カ月半。各地区2位以下の勝率上位3チームがプレーオフに進出できるワイルドカード圏内まで10ゲーム差以上ある。ただ、「売り手」にまわったはずのチームが快進撃で大逆転することは歴史上、何度もあった。有望な若手が多くいる。好投への手応えをつかんだ菅野がいる。奇跡は簡単に起こせないかもしれない。ただ、オリオールズに伸び代を感じ、未来に希望を抱く要素は確かにあるはずだ。
〈前編も公開中です〉


