メジャー10勝目の菅野智之「トレード確実→オリオールズ残留をどう受け止めたか」35歳が初めて明かした胸の内と来季去就の“意外な第1希望” 

「このチームのリーダは誰なのか…」

　では今、菅野のモチベーションは？　自分の投球だけに集中し、来季以降、メジャーで投げ続ける契約を得るためにいいパフォーマンスをみせることなのだろうか。外部から見れば、それは妥当な考えだ。

「もちろん、それはその（モチベーションの）中にはありますよ。でも一番重要なこと、じゃないです。僕、自分のことだけ考えて野球ってやったことないから」

バッテリーを組むアドリー・ラッチマンを労う菅野　©Getty Images

　常勝球団の巨人で長らくエースを張り、チームが勝利するために身を削ってきた。だからこそ、「自分の契約を勝ち取るためだけ」という思考は、菅野の中にはない。あくまでチームのため。それは、優勝を狙うことやプレーオフに進出できる可能性が低くなっても、不変だ。来季はオリオールズにいるか、分からない。だが、このチームの将来について真剣に思いを巡らせている。

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「このチームに必要なのはやっぱりチームリーダーだと思うんですよ。じゃあ、このチームで一番のリーダーは誰なのかと言われた時に正直、僕は誰なんだろう？って……」

「何かを後押しできたら」新たな使命

　実績があり、好成績を挙げていた選手たちはトレード移籍した。残されたのは、若くて、才能がある選手たち。それが開幕前、オリオールズがワールドシリーズ制覇の候補に挙げられた理由でもあった。

遊撃手のガナー・ヘンダーソン　©Getty Images

　スター捕手のアドリー・ラッチマン、遊撃手のガナー・ヘンダーソン、そしてジャクソン・ホリデー。近未来に希望を抱き、オリオールズを背負うべき選手たちがいる。35歳の菅野は、20代の選手たちのサポートを心から望んでいる。

「なにか後押しをできたらいいなって思います。（来季は）このチームにいるかどうかも分からないし、こっち（メジャー）でやっているかどうかも分からないけど、やっぱりこのチームにこうやって取ってもらった以上、なんかそういうものを残せたらいいなと思っています」

　1年契約で加入した菅野。オリオールズの未来を託された選手とは、境遇も年齢、生まれ育った国も野球観も違う。ただ、チームを強くしたい、勝ちたい、という気持ちは共有できる。来年、オリオールズが優勝するために、今自分にできることはすべてやる。残せるものは、残していく。そんな気概を持っている。

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