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久保建英になぜキャプテンを?「あの夜、森保監督が部屋を訪ねてきて…」プレミア王者リバプール遠藤航32歳が考える「監督と主将」理想の関係
posted2025/08/15 11:00
2023年からサッカー日本代表のキャプテンを務める遠藤航(32歳)
text by

小野晋太郎Shintaro Ono
photograph by
JFA/AFLO
翌日の朝には、イングランド行きの飛行機にのる。
日本最後の晩餐に何を食べたい?
10代のころから基本的に答えは決まっているのだが、一応確認する。ということで、今回も短い滞在期間の最後の晩餐は、三軒茶屋での「焼き肉」になった。
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短いオフの予定はイングランドにいるときに細かく埋めてしまう。時間管理もきっちりしている遠藤だが、この日は珍しく、少しだけ待ち合わせに遅れてきた。
「すいません! めちゃめちゃ予定つめちゃってて……でもこの肉を楽しみに来たんで!」
どんなに忙しくても相手を気遣う一言は忘れない。この日は朝からサッカー以外の仕事の予定がみっちりつまった一日だった。スポンサー企業の代表とのモーニング会食に始まり、昼は自身が立ち上げた会社のオープンイベント記者会見。さらに全局の持ち回りインタビュー(全局単独は珍しい上に、普通の選手の倍の時間をとる)をこなし、その後にTBSの『マツコの知らない世界』の収録に参加してきた。ちなみにテーマは「プレミアリーグの世界」。
「マツコさんが熱心にプレミアリーグを見てくれてるみたいで、俺よりプレミアのこと知ってましたよ。収録後は車まで見送ってくれて……。スタッフの人が『こんなゲストは初めて』だと。ありがたいっすよね」
遠藤が真剣に向き合う“前日会見”
プロになって15年。各年代の代表でキャプテンを務め、所属クラブはメガクラブになり、W杯も2回経験した。プライベートでの人間性はまったく変わらないが、取り巻く環境は激変している。どんな場所でも一言一言が日本代表の主将として切り取られる「言葉」の責任。遠藤は自覚的に、言葉を変えるようにしていったという。
「最近、大事にしてるのは試合の前日会見ですかね。特に『伝えたいこと』を決めて出るようにしてます。昔はそこまで気にしてなかったんですけど、A代表のキャプテンになってからは、他の選手に見られている気がするし、前日会見って昔はキャプテンで決まりだったじゃないですか。今は試合やその時々の意味で選んでいる感じもあって、あの場に出席することも信頼を感じるんですよね」
招集した選手には幅広くチャンスを与える森保一監督だが、ことチームから出る言葉や発言には最大限の注意を払っている。ただ、森保監督の第2次政権で会見に同席した選手は、実は6人もいる。
キャプテンだから会見に同席させるのではなく、今そこで喋らせる意味を持つ選手をつれていく。遠藤にとっても記者会見が主将としての義務ではなく、真剣に向き合う場所になった。

