テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
ドジャース“不安要素”は大谷翔平の休養日問題やベッツ不振だけでない「日本的な野球に6連敗」ブルワーズと秋に再戦したら…番記者が懸念
posted2025/08/11 11:01
大谷翔平を擁するドジャースにとって、ポストシーズンのライバルとなりえるブルワーズ相手の6連敗は今後に気になるところか
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph by
Nanae Suzuki
ドジャードッグ片手に大谷のホームランボールが
《7月19日 vsブルワーズ(ドジャースタジアム)●7-8》
かねて大谷が「僕の調子のバロメーター」と語ってきた逆方向への一発だった。
3回に4点を先制され、その裏無死一塁。右腕フレディ・ペラルタの初球、甘く入ったチェンジアップを逃さなかった。飛距離448フィート(約136.6メートル)。今季自己最長タイで、逆方向では自己最長となる超特大弾を左中間へ運んだ。試合前にリーグ単独トップを譲ったユジニオ・スアレス(現マリナーズ)に、33号2ランですぐに並んだ。4試合ぶりの後半戦初アーチだった。
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私は何人かの日本人記者とともに、バックネット裏5階の記者席から左翼席へと走った。大谷の33号をゲットしたのは、ドジャースファンでカリフォルニア州北部在住の通信会社で働くエイドリアン・デラリバさん(48)。車で約5時間もかけてやってきた疲労も感じさせず「ちょうどドジャードッグ(球場名物のホットドッグ)を片手に持ってたんだけど、ボールが転がってきて、もう片方の手でキャッチしたんだ」と感激の様子。毎年観戦に訪れるが大谷の本塁打を生で見たのは初めてで「キャッチできるなんて最高。夢がかなった」と声を弾ませていた。
試合中とあって、インタビュー中に何度もスタンドから地鳴りのような歓声が上がり、デラリバさんはその都度グラウンドの方に目を向けていた。申し訳ない気持ちになってインタビューは早々に切り上げ、再び記者席へ。この大谷の一発から4点差を一時追いついた。大谷は4-6の6回には左前適時打を放ち、7試合ぶりのマルチ安打と気を吐いた。
不調のムーキー・ベッツがスタメン落ちした中で、デーブ・ロバーツ監督は「大谷はチームの現状を意識し、自分の力で何とか乗り越えようとしているのが伝わってくる。He is fighting(彼は戦っている)」と称賛していた。


