甲子園の風BACK NUMBER
「PL野球部の復活はなぜ難しいのか?」信者数激減、財政難…高校野球の超名門・PL学園の今「富田林ではやたらとイノシシが出没しているんです」
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柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph byKatsuro Okazawa/AFLO
posted2025/07/29 11:07
1985年、夏の大阪大会を制した清原和博ら擁するPL学園
2002年にPLを離れた井元氏はその後、青森山田やノースアジア大明桜(秋田)でもスカウトの役割を担い、近畿地方の中学生球児と東北の私学を結ぶ橋渡し役を担った。
現在は高校野球のスカウトを引退している井元氏がこの夏、自宅のリビングで嬉しそうに見せてくれたのは、近所の写真館で撮ったというユニフォームを着た自身の写真だった。
「せっかくだから記念に残しておこうと思ってね。10歳からお世話になった教団には大きな恩義がある。しかし、現在の学園や教団については私がどうこうできる問題ではない」
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これまで消極的だった懇親会に参加するだけでなく、マスターズ甲子園でも井元氏はユニフォームに袖を通していた。PLの灯が消えようとしている今、自ら声をかけ、PLに導いた教え子たちとの再会は、井元氏のケジメの行動にも見えた。
PL人気は令和の今も健在だが…
近年はPL学園のOBが出演するYouTubeチャンネルが人気を博し、直近ではフジテレビ系「ジャンクSPORTS」が「PL学園強すぎやねん」なる特集を組んで、立浪和義氏と片岡篤史氏が出演していた。
事実上の廃部となって9年が経つ。むしろ春夏の甲子園の時期に「PL」を回顧するような記事や番組は年々、増えている気がしてならない。
それだけ高校野球ファンにとって80年代の黄金期の記憶はいまだ脳裏に色濃く残る。しかし、名門は消えたまま、二度と復活することはないだろう。

