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「PL野球部の復活はなぜ難しいのか?」信者数激減、財政難…高校野球の超名門・PL学園の今「富田林ではやたらとイノシシが出没しているんです」 

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柳川悠二

柳川悠二Yuji Yanagawa

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photograph byKatsuro Okazawa/AFLO

posted2025/07/29 11:07

「PL野球部の復活はなぜ難しいのか?」信者数激減、財政難…高校野球の超名門・PL学園の今「富田林ではやたらとイノシシが出没しているんです」<Number Web> photograph by Katsuro Okazawa/AFLO

1985年、夏の大阪大会を制した清原和博ら擁するPL学園

「耐震工事をしようにも資金がないし、建物を壊すにもお金がかかる。それゆえ、高校の校舎を中学の校舎に移転するなどして対応しているようです。生徒数も中高で70人程度ですから、それも可能なようです。金剛寮や葛城寮が現在どうなっているのかわかりません。野球部のAグラウンドも、一時は教団に勤務する人たちのソフトボール大会などが行われていたようですが、芝生の手入れなどはされていないでしょうね……」

 研志寮や室内練習場は既になくなり、かつて甲子園球場を管理する阪神園芸が整備を行っていたというAグラウンドも十分な手入れがされることがないまま聖地の一等地に放置されている。野球部同様に強豪だった剣道部や、布教活動において重要な役割を担っていたバトン部も硬式野球部同様の道を辿っている。

じつは教祖不在だった今

 現在のPL教団が抱える最大の問題は、2020年12月に3代教祖・御木貴日止氏が死去して以降、4代教祖就任の目処が立たず、教祖不在という異様な状況が続いていることだ。リーダー不在の宗教団体など、現役信者の心が離れてしまうのは当然であるし、新規信者の獲得など期待できるはずがない。

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 硬式野球部の桑田真澄OB会長は「すべては4代教祖が誕生してから(動き出す)」と話し、復活に向けて希望は捨てていないことを公言している。しかし、野球部の復活が夢物語であることは教団と野球部のパイプ役を担ってきた桑田会長が誰よりも理解しているだろう。

 硬式野球部の復活どころかわずか39人しかいない高校や35人の中学校の存続すら危うい状況である。そもそも、新たな教祖を誕生させないのは廃教すら視野に入れているのではないかと勘ぐりたくなる。

毎年1月開催のPL懇親会で…

 毎年1月、硬式野球部のOB会は懇親会を開催している。例年、桑田真澄会長をはじめ多くの元プロ野球選手が参加するなか、関係者で最高齢となる井元俊秀氏は会場となるホテルに姿をみせることはあっても、酒席となる懇親会に参加することはなかった。

 ところが、今年は元監督の中村順司氏と同じ卓に座っていた。80年代以降、野球部を表から支えた中村氏と、陰で支えた井元氏という両雄が並び立つことは絶対になかった。それだけに参加したOBたちも驚きの声をあげていた。

【次ページ】 PL人気は令和の今も健在だが…

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