「代表海外組の帰国はチャーター便で」「日本でも欧州時間で活動」W杯最終予選最速突破への“徹底準備”の内実をバックアップ責任者に聞く！ 

「本大会までを見据えたとき、重要なのは日常です。われわれはどんな状態で選手を招集できるかを考えるのと同じように、もっと言えば、それ以上に、どういう状態で選手がクラブに戻っていくかも考えなくてはなりません。招集したいという思いを実現するだけではなくて、良い状態で返すことも丁寧にやらないといけない。選手が所属先でポジションを失ったら、今後の招集そのものが難しくなってしまう。だから選手の日常が大事なんです。

　ヨーロッパのクラブの中心選手として活躍する選手がこれだけ増えていて、レベルは確実に上がっている。ではその選手たちの力を最大限発揮させるには、どうすればいいのか。クラブに戻ってからの日常にも目を配っているし、今はヨーロッパ駐在スタッフを3人体制にして、サポートを行っています。招集時のタクシーの手配などはその一例です」

山本昌邦ナショナルチームダイレクター　©Kiichi Matsumoto

代表活動中はチーム内に3つの時間軸が

　活動中からコンディションを保ち、所属クラブに戻っても変わらずプレーできるように、海外組の選手たちには合流後もヨーロッパ時間で過ごさせた。通常の朝食の時間を睡眠にあて、昼食が彼らにとっての朝食となった。同様に国内組は日本時間に合わせて活動させ、コンディションの維持に努めた。代表活動直後のクラブでの試合に出場できる選手が、以前よりも増えているのはそのためだろう。

ADVERTISEMENT

「こうした取り組みの中で課題になったのは、スタッフの数でした。アウェーゲームではチームが3つの時間軸で動いていて（海外組、日本組、現地時間）、そうなるとスタッフも同じように動かなくてはなりません。人数が限られる中で午前2時、3時まで対応していたら彼らの寝る時間がなくなってしまう。スタッフの負担をどう考えていくか。総務の数も増やす必要があるし、最終予選は2試合ずつ行われましたが、アウェー、ホームの順番もあれば、その逆もあり、日本国内で2試合を戦うこともありました。

　そういう状況の違いにもしっかり気を配らなければならない。選手の睡眠、食事、フィジカルトレーニングの時間帯の調整とスタッフのケアも含めて、さまざまな面で対応することが必要でした。Eー1選手権ではガンバ大阪のアスレティックトレーナーが参加してくれていますが、スタッフのバックアップも進めていかないといけない」

【次ページ】　初の48カ国出場をどう分析するか