「甲子園で準優勝→4球団競合ドラ1」の“天才サウスポー”はなぜプロで1勝もできなかった？ 「何でも鵜呑みにしてしまって…」本人が語った7年間の苦悩 

　その助言をヒントに、余計なことを考えずに投げるようになると次第に肩の痛みがなくなり、球も思うように制球できるようになった時期があった。

　結果的に翌5年目には一軍で再び先発マウンドに立つ機会をもらった。

　勝利を挙げることはできなかったが「酒井さんの助言がひとつの転機にはなった」と川口。そこでようやく正解を見つけ、6年目はオープン戦から一軍に同行するなど意地は見せた。だが、最後まで勝ち星は遠く、結局一軍で勝利を手にできないまま7年目の秋に戦力外通告を受けた。

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　プロ野球生活は7年間で幕を閉じることになった。

「何でも鵜呑みにしてしまう」高卒選手の難しさ

　甲子園で躍動し、名門の大黒柱として名をはせた大型左腕。期待通りのプロ野球生活を送ることができなかった7年間について、川口は何度も「難しい」というフレーズを口にした。

「一番難しいと感じたのは、高卒でプロのコーチに教えてもらうと、高校生からしたら”この人が言うことは絶対に間違っていない“って思うじゃないですか。それが正しいのか間違っているのか自分に合っているのか、その段階ではなかなか判断できない。何でも聞き入れて鵜呑みにして試してしまう。でも、自分に合っているのかどうかを判断するため、自分を知ることも大事なんじゃないかって」

　18歳そして19歳の川口も、何とか自分のものにしようと必死だった。それでもなかなか形にならない。もがき苦しむだけだった入団から4年の時間は「全く何もできない4年間だった」と振り返る。

「もちろん、指導者の方はその選手を壊そうとして指導している訳ではありません。でも……自分もそうですが、辻内さん（崇伸・元巨人）もそうですし、左腕は難しい部分があるんですかね」

　もどかしさと歯がゆさを胸の奥にしまい込んだ川口の言葉は、どことなく重たく、無念さがにじんだように響いた。

　そして川口は、一度、第一線での野球と距離を置くことを決める。

＜次回へつづく＞

#3に続く

4球団競合ドラ1でも…「プロ7年間でまさかの0勝」あの“消えた天才サウスポー”が高校野球“名門校”の監督になったワケ「恩師に恩返しを…」

#3

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#2

「甲子園で準優勝→4球団競合ドラ1」の“天才サウスポー”はなぜプロで1勝もできなかった？ 「何でも鵜呑みにしてしまって…」本人が語った7年間の苦悩

#1

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