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62歳で死去…ドジャース・ロバーツ監督の高校時代を知る“伝説の米国記者”「ダルビッシュとの会話が楽しみなんだ」明かしていた大谷翔平ら日本人選手評
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水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byNanae Suzuki
posted2025/07/12 06:00
ドジャースのロバーツ監督を高校時代から知る米名物記者・スコット・ミラー氏が亡くなった
地元のチームであるパドレスの取材にもよく通っていたようで、球場にいくといつもダルビッシュ有と通訳なしで会話を交わすのを楽しみにしていたと話していた。今季鳴り物入りでメジャーデビューを果たした佐々木朗希については、開幕当初から苦戦が続きマイナーに降格させた方がいいとの声もある中で「ササキどうこうではなく、球団の責任。あれほど注目される才能ある選手を引き受けたのなら、球団にはその選手を成功させる責任がある」と一味違う持論を口にしていた。
ロバーツ監督「伝説のミラーじゃないか」
大谷翔平についても何度も執筆して頂いたが「他者と打ち解けるまでは少し時間がかかるが、ひとたび心を開くと誰よりも人懐っこい。そして自分自身を少しでもレベルアップさせることにこれほど貪欲な選手はいない。今世紀最高の選手になる」と評していた。今季は2度目の肘手術から投打二刀流に復帰するのを楽しみにしており、6月16日のパドレス戦での復帰戦をしっかり見届けた後にこの世を去っていった。あるとき、どうしてそんなに日本人選手に興味を持つのか聞いてみると、「自宅で日本人留学生を受け入れてホストファミリーをしていたので、妻ともども日本に馴染みがある」と明かしていた。その留学生とは家族ぐるみのつき合いが続いていると、ついこの間、聞いたばかりだった。
ミラーさんと最後に直接お会いしたのは昨年の7月、サンディエゴのパドレスの本拠地ペトコパークで、ドジャース戦があった日だった。試合前にビジターのベンチで、メディアの囲み取材のためにロバーツ監督が裏から出てきてミラーさんの姿を見つけるやいなや「伝説のスコット・ミラーじゃないか」と笑顔で言いながら、自分から寄って行って握手を交わしていたのが印象的だった。今年2月のドジャースのキャンプ中には、現地で取材をしている報道陣に混じってミラーさんの姿があったのをテレビで見かけたが、変わらず元気そうに見えた。亡くなる約5週間前には、200人以上の関係者を取材して書き上げた現代のメジャーの監督論「スキッパー」を出版している。彼にとっては2冊目の本で、最後の作品。人生のぎりぎりいっぱいまで、書き続けていたということだ。
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病気のことは最後までほとんど誰にも明かさず、亡くなる直前まで球場の記者席に来ていたそうだ。筆者は昨年5月に本人から「2週間ほど入院する」と聞いていたが、退院後は明るく元気そうだったので、そのときは何も聞かなかった。
すい臓がんだったという。62歳だった。
最後に、追悼記事を書かせて頂いたNumberWebさん、そしてミラーさんには心から感謝します。


