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62歳で死去…ドジャース・ロバーツ監督の高校時代を知る“伝説の米国記者”「ダルビッシュとの会話が楽しみなんだ」明かしていた大谷翔平ら日本人選手評
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水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byNanae Suzuki
posted2025/07/12 06:00
ドジャースのロバーツ監督を高校時代から知る米名物記者・スコット・ミラー氏が亡くなった
ミラーさんが記者として過ごした90年代以降は、米国メディア業界の激動の時代と重なっている。デジタルメディアの発展とともに新聞は発行部数を落とし、米国で発行されている新聞は現在、2005年と比べて3分の2まで減少。それでも昨年時点で6000近くの新聞が全米で発行されていたそうだが、週平均2紙のペースで減り続けているという。新聞メディアが低迷すると、実力ある野球記者の多くはデジタルメディアとテレビへ移っていった。大手新聞でいくつもの名記事を書いていた優秀な書き手がペンを完全に捨てて野球中継のコメンテーターに転身していく姿を筆者も身近で目にしたが、それは同じ野球記者としては衝撃だった。その後、SNSが隆盛してくると米記者たちは、今度はポッドキャストなどのトーク動画配信にも進出し、有力記者の中には新聞やデジタルとテレビ、配信のすべてを網羅して活動している人も多くなった。
日本人選手に興味…ダルビッシュも
ミラーさんも時代の流れにあらがえず、その後に新聞から「CBSスポーツ」というテレビ局系のデジタルメディアに移籍したが、そのデジタルメディアも十数年で経営が厳しくなり、高額年俸の有能なベテラン記者ほどリストラの対象となった。ミラーさんもデジタルからまた新聞に回帰し、最後はニューヨーク・タイムズ紙に野球記事を執筆していた。ベテラン野球記者として名声と実績のある彼ならテレビの仕事をやろうと思えばいくらでも誘いはあっただろうが、そうしたものには興味を示さず、ひたすら記事を書くことにこだわった人だった。
選手をよく観察し、メジャーの日本人選手のこともよく見ていたので、話を聞くのはいつも面白かった。しかし日本人選手の場合、取材をするにしても必ず専属通訳を通さなければならないので、その人となりを感じ取ることは難しいのではないかと聞いたことがあった。すると「そんなことはない。通訳を通しても十分に伝わるよ。特にイチローは、通訳を通しても彼のユニークな発想が伝わってきて、話が面白かった」と話していた。7月に開催されるニューヨーク州クーパーズタウンの殿堂入り式典には毎年出席していたそうで「イチローのセレモニーには記録的な人が出席するだろうね」と、今年のその日を心待ちにしていた。

