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直前で消えた「3対3電撃トレード」独占スクープ…阪神が坪井智哉を放出のウラで「まさか下柳剛を獲れるとは」23年前の“事件”…阪神元編成部長が語る真相
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岡野誠Makoto Okano
photograph byKYODO
posted2025/07/08 11:02
2002年11月、日本ハムから阪神に移籍した下柳剛(左)と中村豊。別日に阪神から日本ハムへ移籍した坪井智哉らを含む“3対3トレード”となった
80年12月13日、スポーツニッポンが〈阪神、掛布放出 南海門田と交換 「2対4」工藤↔︎村上、新井、黒田〉と1面でぶち上げた。詳細はこうなる(打率、勝敗などは同年の成績)
掛布雅之と門田博光…幻のトレード
【阪神】
掛布雅之(25歳・内野手)70試合 打率.229 11本塁打 37打点
工藤一彦(24歳・投手) 31試合 5勝10敗0S 防御率4.07
【南海】
門田博光(32歳・外野手)111試合 打率.292 41本塁打 84打点
新井宏昌(28歳・外野手)112試合 打率.262 6本塁打 43打点
黒田正宏(33歳・捕手) 101試合 打率.249 5本塁打 21打点
村上之宏(24歳・投手) 24試合 4勝11敗0S 防御率7.36
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掛布は前年48本で初の本塁打王を獲得したが、この年はケガで70試合の出場に留まっていた。門田は前年のアキレス腱断裂から見事に復活し、カムバック賞を受賞していた。阪神の小津正次郎・球団社長は〈寝耳に水の話。影も形もありません〉、南海の永井正義・広報調査部長は〈あれは誤報〉(以上、80年12月14日付/報知新聞大阪版)と完全否定。だが、契約更改の席についた黒田は、こんな談話を残している。
〈新聞に載っているように、阪神から話があるかどうか、ボクのほうから聞いたら、球団の方へ毎日のように西山さん(阪神・編成部長)から電話があるとのことだった〉(80年12月14日付/スポーツニッポン大阪版)
水面下で、何らかの動きはあったようだ。阪神の球団事務所には「掛布を出すな」と抗議が殺到。ファンが小山正明、江夏豊、田淵幸一に次ぐ生え抜きスターの放出に嫌悪感を抱き、トレードは幻に終わった。阪神にとって、この消滅は正解だったのか。
〈つづく〉


